熊本県内は7月の降水量が平年の1割程度と、極端に雨の少ない状態が続いていて、県北部の山鹿市にある山あいの集落では、住民たちが連日雨乞い太鼓を叩いている。少雨の影響が徐々に深刻さを増す中、待望の雨が8月7日から降りそうだが、降り方によっては警報級の大雨となる恐れもあり、注意が必要。
早い梅雨明けに台風もなく少雨が続く
毎年、6月中旬に田植えを終える山鹿市鹿北町にある迫地区。約20軒の生産者がコメを作っている。

2025年は、早い梅雨明けに加え、台風の接近や夕立もなく、7月の降水量は平年の1割ほどにとどまった。地域を流れる河川では、少雨の影響で川底があらわになっていた。

この集落では、地区を流れる芋生川の水を農業用水として使用しているが、8月4日に降った雨ではわずかに水位が回復した程度で、稲作に必要な水は全く足りていないという。
コメ農家などが本気の『雨乞い太鼓』
水不足を解消しようと、「ひょうたん年かい、雨年かい。井手口取ったら、コメ採ろばい」の掛け声とともに、住民たちは地域に伝わる『雨乞い太鼓』を8月に入って毎晩叩いている。

5日目となった8月5日夜も住民たちが太鼓の音に合わせて踊り、雨が降るのを祈るが、「降ってもらわんと困る。人間の方の体力がもたん。自然には勝たんけん」と愚痴をこぼす。

踊り手の女性は「明日がどうかなって、期待してます」や「雨が降らんと、田んぼが乾いてヒビが入ると水が溜まらんごつなるけん」と話した。

迫地区雨乞い太鼓保存会・白木斎会長(68歳)は「今、水が無いと穂の生育が悪くなるけん、今が一番必要です。きのう雨が降ってくれたけん、きょうも降ってくれったら、叩かんでよかったけど、きのうの雨だと何日しかもたんけん、神頼みですね」と話す。

雨乞い太鼓の保存会は「伝統芸能の継承のため、毎月欠かさず練習してきたが、実際に雨が降るのを願ってたたくのは、梅雨入りが遅かった2019年以来だ」と話す。
少雨から一転 警報級の大雨の恐れも
その願いが天に通じたのだろうか、朝鮮半島付近にある低気圧から伸びる前線が、7日に九州付近に南下し、その後、停滞する見込みだ。

前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込むため、大気の状態が非常に不安定となっている。熊本県内は7日朝から8日午前中にかけて、局地的に雷を伴い非常に激しい雨や激しい雨が降り大雨となる恐れがある。

予想される24時間の降水量は多いところで、7日と8日夕方までが120ミリ。9日の夕方までが100ミリとなっている。これまでの少雨から一転して警報級の大雨となる可能性もあるので十分注意してほしい。
(テレビ熊本)