経営再建を迫られている日産自動車が、神奈川県にある主力工場を含めた閉鎖案を検討。イット!取材班は日産の工場とともに発展してきた町を取材しました。
神奈川・横須賀市の追浜に60年以上住んでいるという人からは、「町が寂れるんじゃないかなって。心配ですよね」と不安の声が聞かれました。
2万人の人員削減方針 2工場の閉鎖案も
先週の決算会見で、2027年度までに、グループ全体で2万人の人員削減に踏み切る方針を示した日産自動車。この週末には、計画の一環として国内で早期退職を募集することが明らかになりました。

加えて、2つ工場の閉鎖案も検討されています。関係者によると、計画案として閉鎖が検討されているのは、横須賀市にある追浜(おっぱま)工場と、平塚市にある子会社・日産車体の湘南工場です。
半世紀以上にわたり日産の主力「追浜工場」
追浜駅の近くにあり、東京ドーム30個分以上の敷地面積をほこる追浜工場では、現在約3900人の従業員が働いています(2024年10月時点)。
1961年に操業を始め、半世紀以上にわたって日産の主力工場として稼働してきました。

1980年代には、工場見学に訪れたマイケル・ジャクソンさんに当時の主力車種だった「ブルーバード」の最新型をプレゼント。

こうした工場の発展は、追浜の町にも活気をもたらしてきました。
追浜に住む90代の人:
みんな日産関係。商店街は羽振りよかった。

追浜に30年以上住む人:
(駅前商店街の)人通りがすごくて、すれ違うのも大変だったんですよ。日産がなくなったら本当に、飲む人もいなくなる。
今も「日産工場」が支えの商店街
全盛期の活気こそないものの、飲食店や理髪店などが並ぶ駅前の商店街は、今も「日産工場」が支えになっているといいます。
弁当店の店主は「日産の社員さんに電話予約でたくさん買っていただいたりとか。工場に入る業者さんもよく買いに来られるので、お店としてはショックです」と不安を吐露しました。

また、酒店の人も「やはり地域経済には非常に大事な存在ですよね。ある程度打たれ強い部分は、追浜商店街というのは、私はあると思ってるんですけど、半分希望観測ですよね」と話すなど、店の関係者からは“工場閉鎖”となった場合の影響を危惧する声が聞かれました。
また、追浜工場とともにお祭りを開催するなど、追浜の町にとって工場は切っても切れない関係にあります。
一部工場の閉鎖について日産「臆測」とコメント
一連の報道を受け、横須賀市の上地(かみじ)克明市長は19日、会見で「60年以上の歴史を持つ追浜工場は、横須賀には大変重要な存在です。今後は情報が正しく発信され、日産自動車の再建が一日も早く実現し、かつての輝きを取り戻されることを願っています」と述べました。

日産は、今回の件について「一部の工場の閉鎖に関する報道がありましたが、憶測に基づくもので、当社から発表した情報ではありません」とコメントしています。
(「イット!」5月19日放送より)