新政権発足で大きく変わるとみられている制度のひとつが、「社会保険料の引き下げ」です。
自民党と連立政権を組む日本維新の会が掲げるのが、医療費などの削減を通じて手取りを増やすという政策です。
連立合意時の基本政策でも、2025年度中に医療費の削減を進め、現役世代の社会保険料負担を減らし手取りを増やすことを目指すとしています。
その財源として挙げているのが、「病床の削減」や「OTC類似薬の保険適用の見直し」です。
風邪薬や湿布薬の他、アトピー性皮膚炎などのアレルギー用の薬も含まれるOTC類似薬。
処方箋が必要ではあるものの成分や効能は市販薬とほぼ同じな上、保険適用で市販薬より安く購入できます。
利用客の半数がOTC類似薬を求めてくるという、とおやま薬局の遠山伊吹代表は、「医療費削減するのは当然大切なことだし今後必要なことだと思うが、ただOTC類似薬でも、その薬がないと日常生活が送れない方はたくさんいる。ご家庭の治療費が跳ね上がる可能性もある。受診控えになって自己判断で治療をするとか、治療をやめてしまうことで、健康被害が発生する可能性はある」と懸念を示します。
とおやま薬局では現在、OTC類似薬の湿布7枚入りの価格が30円~40円(3割負担の場合)です。
しかし、保険適用が外れた場合、1000円程度(手数料含む場合)に跳ね上がるといいます。
とおやま薬局・遠山伊吹代表:
例えば、大人のただの肌荒れだったら保険外すとか、アトピー性皮膚炎のお子さまだったら保険給付の対象にするとか分類もできる。
生後3カ月の子供に処方されたOTC類似薬を受け取りに来たという母親は、「一概に、賛成だ反対だとは言えないという感じ。ちゃんと選定して条件を整えて、体制も整えたらできるかもしれない。薬局で知識がある人は買えると思う。剤形も違ったりするので」と話します。
街の人に話を聞くと、「花粉アレルギーとか3種類飲んでいるの。だから保険効かなくなったら、それが全部実費になるわけだから、暮らしていけなくなる。他の財源でなんとかならないのかしら」と反対する81歳の女性や、「51%で賛成です。自分の負担が下がるのであれば、そっちの方がいいですね。自分の母もいい年なので、そういったところに引っかかると良くないかなって色々考えちゃいます」と、中立の立場を示す40代の男性などがいました。
また、60代の男性は「いいかもしれないですね。湿布薬を大量にもらってきて、家族で使っているとかっていう話は近所でよく聞くので、それはどうかなとは思ったのですけどね」と賛成の立場を示すも、「子供がアトピーとかだとそういうのも一緒になるんですね...。その辺難しいかな」と話すなど、さまざまな意見が聞かれました。
厚労相に就任した上野賢一郎氏は22日に閣議後の会見で、OTC類似薬の見直しについて「骨太の方針でも、『医療機関に必要な受診を確保し、子供や慢性疾患を抱いている方、低所得の方の患者負担などに配慮し検討する』とされているので、そうした観点を十分に踏まえ、丁寧に議論していきたい」と述べました。