早く見つければ取り除きやすくなり、感染症のリスクを減らすことにもつながるため、早期の発見は大切だという。対処法は大きく、次の2つだ。
(1)病院で取り除いてもらう
最も確実な方法は、病院(皮膚科や外科)で取り除いてもらうこと。基本的にはマダニが付いた皮膚ごと、切開除去するという。患部もきれいに治癒し、感染症の心配も低いとされる。
(2)自宅で取り除く
夜間や複数日の登山などですぐに病院に行けないときなどは、自ら取り除くケースもある。マダニを取る専用の器具も売られているが、ない場合は毛抜きなどでも可。マダニの頭(正確には顎体基部)をつまみ、ゆっくり、まっすぐ引き抜くと取りやすいそうだ。

このほか、かまれてすぐであれば、お風呂に浸かったり、患部をワセリンなどで覆ったりすると自然に取れる例もあるという。
また、やみくもに引きはがそうとするのは控えてほしいそうだ。
「マダニのあごや口の部分(口下片)が体内に残る場合があります。確実に取り除きたいなら病院での対処がもっとも無難です。発熱などの症状が出た場合は、『マダニにかまれた』ことを伝えた上で病院を受診してください」
野山を訪れることがあるなら、予防対策の参考にしてみてほしい。
西海太介(にしうみ・だいすけ)
一般社団法人「セルズ環境教育デザイン研究所」代表理事所長。野外における危険生物対策の研究や教育を専門とし、大学や企業などでも教鞭をとる。著書に『身近にあふれる危険な生き物が3時間でわかる本』(明日香出版社)など。