「マダニの被害は基本的にチマダニ属、マダニ属によるものが多いです。体長が2~3mm程度のため、気付かないうちに服についてかまれるケースが多いのです」と西海さん。

草木が生い茂った場所を通ったり、腰をかけたりしたとき、マダニたちは人間にくっつき、かみやすい場所を探して体の上を移動する。
そして皮膚の柔らかいところを狙い、かみついてくるという。腕の内側、脇、肛門周りは発見しにくいので、要注意なのだとか。

「かみついてからは、1~2日かけて接着剤のような物質を口から出して皮膚に固着し、長いケースだと1~2週間にわたって吸血します。口をがっちりと固着するため、時間が経つと簡単には取れません」
死亡リスクもある「SFTS」
かまれると重い感染症にかかる恐れもある。
その代表例が「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」という疾患だ。ウイルスに感染すると6日~2週間の潜伏期を経て、嘔吐、下痢、頭痛、倦怠感、リンパ節の腫れ、出血などの症状が現れる。重症化すると死に至ることもあるという。

記事で紹介した4グループだと、チマダニ属とキララマダニ属の一部でSFTSウイルスが検出されているそうだ。このほか、野生動物が持つウイルスや細菌を媒介することがあるという。