食の雑誌「dancyu」の元編集長・植野広生さんが求め続ける、ずっと食べ続けたい“日本一ふつうで美味しい”レシピ。

植野さんが紹介するのは「春巻き」。東京・国分寺にあるチャイニーズレストラン「オトメ」を訪れ、パリッと軽やかな食感で揚げたてはもちろん、冷めても美味しさが続く料理を紹介。

居心地のいい空間づくりで常連に愛される秘訣も探る。

都心へのアクセスも良好な街・国分寺

チャイニーズレストラン「オトメ」があるのは、国分寺駅。スタッフが国分寺駅の印象を尋ねると、「初めてで、全く何の予備知識もありません」と植野さん。

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新宿から中央線の特別快速で約20分の場所にある国分寺駅。都心へのアクセスも良好で、駅の南側にある多喜窪通りには、地元に根ざした飲食店が軒を連ねている。

味の調節も臨機応変な中国料理店

国分寺駅から約4分歩いた場所にあるのが、今年で開店40年を迎えるチャイニーズレストラン「オトメ」だ。

地元の人が、「何を食べても美味しい」と口を揃える人気の店。店主の落合芳光さんが趣味で集めたアート作品が壁に飾られ、居心地のいい空間になっている。

心のこもった料理に加え、店主の気さくな人柄や温かな接客も人気の理由なのだ。

常連からは「今日はもやしそば。塩味強いのは食べられないから薄味に調節してくれる」「ここのレバニラは臭みがなくてご飯に合う」といった声が。

地元の常連から遠方の訪問者まで、幅広い世代に親しまれている。 

“オトメパン”の遺志を継いだ“オトメ”

植野さんが店名を「オトメ」にした由来を聞くと、「昔、父が『オトメパン』というパンを焼いていました。(当時の店があった)文京区の根津で非常に評判で、オトメパンと中華をやっている店でした。地元に知られている名前を使おうと」と落合さんは話す。

父の技を見て学びながら有名店を食べ歩き、自分の味を追求していった落合さん。その後1985年、独立を機に国分寺で「チャイニーズレストラン オトメ」を開店する。

開店当時から大切にしていることが、席に花を飾ること。「花は大好きです。季節感を出すためにもお客さんに生きている花と一緒に食事を楽しんでもらえれば」と語る。

常連客からも「食事も美味しくて、さりげない気配りがこの店のいい所」と好評だ。

さらに営業の合間を縫って、常連客に声掛けもする。「常連さんの時は、できるだけ僕が出て『いつもありがとうございます』と伝えるようにしています」と笑顔で語る落合さん。

本日のお目当て、オトメの「春巻き」。 

一口食べた植野さんは「ちゃんと旨味が入って、この組み合わせは楽しい」と絶賛した。

オトメ「春巻き」のレシピを紹介する。