4月16日、長野県木島平村で90歳の女性が畑仕事中にクマに背後から襲われ、背中など11カ所をかまれた。また、9日には隣の飯山市で男女3人が襲われ重軽傷を負った。立て続けに起きたクマによる人身被害。専門家は、北信以外でも2025年はクマの動き出しが例年に比べて1カ月ほど早く、大量出没の可能性もあるとして注意を呼びかけている。
動きが1カ月早い 大量出没の可能性
「今年クマの動きは1カ月くらい早いです。春から動きがおかしい年は気を付けた方がいいんです」
こう指摘するのは、野生動物学が専門の信州大学農学部・泉山茂之特任教授。例年、クマは冬眠から目覚め、5月の連休明けごろから動き出すと言う。

しかし、2025年は4月中にもかかわらず飯山市と木島平村の人里で人身被害が発生。
中南信でもシカのワナにクマが掛かるなどの報告が寄せられていて、動き出しが例年より1カ月ほど早いと言う。

ドングリなどのエサが不足していたわけではなく、理由ははっきりしないが、動き出しが早い年は、大量出没する傾向もあり注意が必要だと言う。
泉山特任教授は「動きがおかしい年は、違ったことがすでに起こってるわけじゃないですか。だから気を付けたほうがいいかもしれない」と呼び掛ける。

人里への出没については、クマが行動する河川敷やその周辺の環境の変化が大きいと言う。
人里にクマを近づけない対策を
泉山特任教授は「放棄耕地が増えたり、川沿いの田んぼが作らなくなって荒れてるとか、そういうところをつたってきてしまったクマが人間のそばに来て逃げようと思っても逃げたらそこに人がいたり、不幸な遭遇が起こってしまう。クマが入り込みやすい環境がどんどんできていることが大きな問題」と指摘する。

クマの出没が増える夏に向けて、人里近くの耕作放棄地や、やぶの手入れをするなどクマを近づけない対策が重要だ。

泉山特任教授は「河川敷とか段丘斜面とかがクマの移動の道になりにくい環境づくりをしていく。家の周り、畑の周りは少しずつでも刈っていれば、人が何かやっているというのがクマに伝われば、ここは人が来ているとわかればそこを避けるようになりますので、少しずつでもやってください」と注意を呼び掛けている。
(長野放送)