山形市で住宅の敷地にクマが侵入、札幌市で大きなヒグマが幹線道路に出没するなど、冬眠するはずの冬になってもクマの活発な行動が続いている。
そうしたなか札幌市では「ヘアトラップ」という手法を利用したクマ対策を進めている。
山形の住宅敷地にクマが侵入
本格的な冬のシーズンが到来してもクマの被害が止まらない。
11月30日午前8時頃、山形市の住宅に設置された防犯カメラが捉えた映像には、クマが道路を横切り、住宅の敷地へと侵入する姿が映っていた。

何か目的があったのか。脇目も振らず侵入していく。
この様子を目撃した住民に話を聞いた。
住民:
何げなく窓から外を見たとき、黒い60〜70cmぐらいの物体がウッドデッキの脇を通っていった。

クマは家の中には入らず、住民への被害はなかったものの、柵が倒され、フンのようなものが3カ所庭に残されていたという。

住民:
外に出る時とか車の乗り降りとか、十分に周りを確認して行動していかなきゃなと。
札幌で「軽自動車みたいな」巨大ヒグマ
ヒグマの今年度の出没件数が11月25日時点で358件と過去最多を更新した札幌市でも、11月29日幹線道路にクマが出没した。

撮影者:
軽自動車みたいな大きさのクマがいて、すごくビックリした。目撃したのは初めて。冬眠しないんだって感じ。

クマはいまだに活発な行動を続けている。
「ヘアトラップ」DNA分析でわかること
市の担当者は、被害を食い止めるために今後カギとなってくる対策があるという。
有刺鉄線に囲まれたワナを使ったヘアトラップだ。

この有刺鉄線に絡みついたクマの毛をDNA分析することで、生息数の推定や行動範囲の把握が可能になるという。

札幌市環境局環境都市推進部・坂田一人さん:
今年で言えば30数カ所にヘアトラップを仕掛けているが、例えば数カ所で同じ個体が識別できれば、捕獲場所としてどのあたりが良いのかというところも行動圏から選べる。
もしも街中に出没したクマのDNAが取れれば、過去のデータと照らし合わせることで、対処がスムーズになる可能性があるという。

待ったなしの対策が必要となる中、今後クマは冬眠を迎え、被害は収まりをみせていくのか。
冬眠中の母グマの胸元に抱かれた生まれたばかりの子グマの映像だ。

メスのクマは冬眠中でも巣穴の中で1頭から2頭を出産し、野生の状況では飲まず食わずで子グマを育てるという。
専門家によると、すでに多くのクマは冬眠に入っているという。
しかし、山でのエサが不作だったため、脂肪がつけられなかったクマが今後も食べ物を求め人里への出没が続く可能性があるという。

雪深い中でもクマが出没するような異例の光景が今年は増えてしまうのか。
警戒はまだまだ続きそうだ。
(「イット!」12月1日放送より)
