『防災庁』の設置に向けた政府の有識者会議が4月14日に開かれ、熊本地震の教訓を生かした提案が行われた。提案したのはジャーナリストの鈴木哲夫さんで、被災した自治体を政府がサポートし、現地対策本部を一元化することなどを求めた。
現地対策本部のモデルに熊本地震の『K9』
5回目となる有識者会議には、大学の研究者やボランティア団体の代表らが出席し、防災庁の役割や機能などについて意見が交わされた。会議では、メンバーの中で唯一のジャーナリストである鈴木哲夫さんが、現地対策本部についての考えを示した。

鈴木さんは「現場主義、地元の地方自治体の首長がしっかりと最後責任を持つ。政府はしっかりとサポートする。こういう体制が一番いい。これが熊本の教訓」と話し、「『熊本モデル』というのが、一つの防災の現地本部のあり方なのかなということで提案した」と述べた。

熊本地震の際、当初国と熊本県の合同会議では主に活動報告や現状説明を行う場となっていたため、熊本県に出向経験がある国の幹部職員などが現地対策本部に入り、熊本の頭文字をとって『K9』という会議を実施。熊本県の幹部らと連携しながら〈ミニ霞が関〉として、迅速な課題解決や省庁横断の支援につなげた。
都道府県と国が一緒になって決める体制
それを踏まえ、鈴木さんは知事をサポートする防災監を現地に派遣した上で、地方と政府による現地対策本部の一元化を提案している。

鈴木さんは「熊本モデルのような、いわゆる現地本部、地元の自治体に権限を持たせる。そこをうまく政府がフォローする。その仲介役を防災庁がとる」と話す。

この提案について熊本県の木村知事は「現場の判断を大事にしていただくことは大事。都道府県に、いい意味で国の機関、国の人員や予算が入り込むような形がいいと思う。私たちが決めていくというよりも、私たちと一緒になって国が決めていく体制を現場で構築することが熊本地震のよい教訓と思う」と述べた。

防災庁について石破首相は2026年度中の設置を目指していて、2025年6月に概要を公表する考えを明らかにしている。
(テレビ熊本)