全国の地価が18日に公示された。長崎県内では住宅地や商業地など、すべての用途で上昇していて、持ち直しの傾向が続いている。注目は「大村市」と「長崎市」だ。
長崎の地価 すべての用途で上昇
地価は国土交通省土地鑑定委員会が土地の取引価格の指標とするため、毎年、1月1日時点の1㎡当たりの価格を公示している。

長崎県内では小値賀町を除く13市7町の258地点で調査が行われ、すべての用途で変動率が1.2%と、2024年と比べ上昇幅が0.3ポイント拡大した。
住宅地や商業地は4年連続で上昇率拡大傾向
住宅地で最も高かったのは「長崎市上西山町2-22」の29万8000円。

2024年より9000円上がり、2003年以降、23年連続で県内トップだ。

商業地は「長崎市浜町3-25」が98万5000円。2024年より8000円上昇で2015年以降、11年連続で最も高くなった。
住宅地や商業地は2022年以降4年連続、工業地も2023年以降3年連続で上昇率の拡大傾向が続いていて、県内の地価は持ち直し傾向にあるとしている。
再開発が続く「大村市」と再開発一段落の「長崎市」
上位は2024年と同じだが、今回の調査で注目なのは、再開発が続く「大村市」と再開発が一段落した「長崎市」だ。

西九州新幹線の開業に伴い、通勤・通学の利便性が向上した大村市。新大村駅前にはマンションや商業施設が次々と完成し、雰囲気が変わった。さらに今は公園の整備も進められ、暮らしやすいまちへ進化を続けている。

住宅地は需要の高い状態が続いていて、変動率は3.5%と2024年より1.1ポイント高くなった。
住宅地の変動率をみると、2位は「大村市東三城町15番8」の4.4%(※4万9600円)。

3位は「大村市諏訪1丁目894番4」の4.4%(※4万5400円)。いずれも2024年より大きく順位を上げた。
また、大村市の商業地も変動率が2.9%と、2024年より1ポイント上昇。国道34号沿いの需要は高いものの、規模が大きい店舗用地の供給がない状態で、県道外環状線沿いへの需要が増えている。

一方、長崎市の商業地は、長崎スタジアムシティやアミュプラザ長崎新館の開業など競争が激化。地価はやや上昇したものの、変動率は2.3%と2024年より0.3ポイント低くなった。マンション開発の動きが鈍くなっていることが背景にある。

不動産鑑定士の児島雅彦さんは「分譲単価が250万円を超えて300万円を超える物件になってきているので、長崎で買える層がかなり限られてきている。もともと長崎でやっているデベロッパーは中心部はもうほぼ今、手を出しておらず、長崎でも少しはずれか諫早、大村にシフトするとはっきり言っている」と話す。

今後は、土地の価格決定権者が「マンション開発業者」から「ホテルの開発業者」に変わる可能性があるとしている。児島さんは「長崎はホテルの利回りは今でもいいので、ホテルの開発業者が買うのか、という話に移ってくるのではないかと思っている」と指摘している。

長崎市中心部のマンションは高いところで坪単価300万円。一坪は畳2畳分で、2~3LDKとなると価格の最低ラインが5000万円以上になっている。「高くて買えない」「誰が買うんだろ?」という声も聞かれるが、不動産鑑定士は「高台や郊外からの買い替え、投資目的での購入もあり、夫婦共働きの世帯や富裕層などが買っている」ということだ。
佐世保市も商業地の地価が上がり、市中心部のアーケード周辺で一部、県外資本が流入しているといわれている。
(テレビ長崎)