セブン-イレブンに7兆円規模の買収を提案しているカナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタールの経営陣らが13日午前、日本で初めてとなる会見を開いた。今後の買収計画はどうなるのか、商品ラインナップに変更はあるのか、詳しく解説する。

クシュタール会長「敵対的な買収は計画にない」

カナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタールの経営陣らが13日午前、日本で初めてとなる会見を開いた。

この記事の画像(36枚)

そこで示したのはセブン&アイ・ホールディングス買収への強い意欲だ。

アリマンタシォン・クシュタール アラン・ブシャール会長:
当社は引き続き友好的かつ、両社が合意可能な取引を求めております。
当社の提案が全ステークホルダーに明確な価値を提供するものであり、真摯かつ十分に検討いただきたいと願っております。

これまで、セブン&アイ・ホールディングスは、クシュタールから7兆円規模の買収提案を受けている。

セブン側は前提として2000店舗以上の売却要求

アメリカでの店舗数はセブン&アイが1位。クシュタールが2位に続く。
セブン側は両社が統合すれば、独占禁止法などの規制への対応が課題だとし、クシュタールに協議を進める前提条件として2000店舗以上の売却を要求していた。

セブン側「独占禁止法などの規制への対応が課題」
セブン側「独占禁止法などの規制への対応が課題」

これに対し、クシュタールは声明を発表。
買収協議が「アメリカの規制当局の承認に関する課題のみに焦点が当てられている」として「失望している」などと、セブン側の対応を批判していたのだ。

そんな中、行われた注目の会見で、クシュタールのアラン・ブシャール会長は「地域の卓越性と世界的なコンビニエンスチャンピオンの力を融合させることができる。特有の戦略的適合性があると信じてきた」と買収の意義を強調した。

一方で、買収協議が進んでいないことについては、「話し合いは規制関連に限定されたものにとどまっており、幅広い条件の話し合いに至っていないことを残念に思っている。私達にとってのフラストレーションは時間のことです。時間がかかってるだけのことであり、セブン&アイも色々と検討されている。ただ、いわゆる敵対的な買収というのは当社の計画にはございません」と語った。

クシュタールに買収された場合、セブン-イレブンの店舗はどうなるのか。

セブン-イレブンの店舗はどうなるのか
セブン-イレブンの店舗はどうなるのか

クシュタール アレックス・ミラーCEO:
私達は買収を通じて成長を求めています。そのための投資です。
店舗の閉鎖や従業員を解雇するような計画はありません。

買収提案も検討対象からは外さず

セブン&アイ・ホールディングスの買収を巡る動きに進展はあるのか。
ここからはフジテレビの智田裕一解説副委員長と見ていく。

買収提案しているクシュタールが日本に来て会見したわけだが、この意図は何だろうか。

フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
クシュタールとしては買収によるメリットを、直接日本のユーザーや投資家に訴えることで、買収を成功に導きたいという狙いがあったのではないかと思います。

青井実キャスター:
買収意欲を強く示していますが、見通しはどうなんでしょうか。

フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
ここは正直どうなるか分からないというところで、セブン&アイが打ち出した単独での自主再建路線が、投資家などの理解を得られるかどうかにかかっていると思うんですが、ただ一方でクシュタール側の買収提案も検討対象からは外していない。つまり、選択肢としては残しているんですね。

セブン側は当面「どっちつかずの対応」か
セブン側は当面「どっちつかずの対応」か

青井実キャスター:
残しているということはクシュタールの買収を拒否するわけでもないですし、セブンの狙いはどうなんでしょうか。

フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
セブン側としては当面は、どっちつかずの対応をし続けたいんじゃないかという指摘があります。自主再建路線がうまくいかなくなった場合は買収を受け入れることもできるし、自主路線がうまくいくようなら買収提案を断る大義名分もできるということになります。

おにぎりの消費期限は?トイレ無料サービスは?

気になるのはセブン―イレブンの店舗がどうなるかだろう。

クシュタール側が語った今後の見通し
クシュタール側が語った今後の見通し

会見で創業者のブシャール会長は「日本のセブン―イレブンは世界級」「日本の経営陣に引き続き経営を担ってもらう」と語っている。店舗を閉鎖したり従業員を解雇したりする計画はないことを明らかにした。

そう聞くと、消費者には影響がないと感じるが…。

「おにぎり」についての記者の質問に答えたミラーCEO
「おにぎり」についての記者の質問に答えたミラーCEO

宮司愛海キャスター:
その点に関して会見でこんなやり取りがありました。記者からの質問です。「おにぎりを食べたことはありますか?」さらに、買収したら「おにぎりの消費期限を延ばすことはありますか?延ばすのではありませんか?」と聞かれますと、ミラーCEOは「消費期限などを延長することは絶対ありません。賞味期限・消費期限を決めるのは既存の日本の責任者たち。私はおにぎりが大好き」と述べました。

消費経済アナリストの渡辺広明さんによる、買収の場合の日本への影響とは
消費経済アナリストの渡辺広明さんによる、買収の場合の日本への影響とは

青井実キャスター:
こういう会見の内容もありましたけど、本当に日本のコンビニにプラスになるのかマイナスになるのかということなんですが、消費経済アナリストの渡辺広明さんによりますと、例えば、アメリカにドリンクバーってあるじゃないですか。コンビニにもこういうものが出てくるんじゃないかという話もあるし、デメリットとしてはトイレの無料サービスが削減されてしまうという可能性もあるということですが、この辺り、どうですか?

フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
セブンはおにぎりや総菜が人気なんですが、クシュタールは店内で作るカフェラテやホットドッグが人気なんですよね。なのでクシュタール発のラインアップ、新しいものがセブンのレジ横に加わってくることもあるかもしれないですね。ただ、クシュタールはガソリンスタンドを併設している店舗が多いんですね。
なので、日本とビジネスモデルが違うので、この2つが本当に相乗効果を生み出せるのかどうかがポイントになると思います。

SPキャスター・パトリック・ハーラン氏:
肌感覚で言うと、欧米に比べて日本のコンビニエンスストアは生活密着型ですね。食料品とか必需品はそうなんですけど、さらには行政サービス税金も払えるし、住民票を発行してもらえるし、震災時には帰宅支援ステーションですね。
ですから全体的に今、コンビニはインフラです。経営陣がどうなってもいいけど、やっぱり元気でいいコンビニであってほしいなと思います。

セブン&アイ・ホールディングスがどうなるか、この先コンビニ業界全体にもどういう影響が出てくるのかも注目していきたい。
(「イット!」 3月13日放送)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(36枚)