アメリカの大統領による相次ぐ関税措置のあおりを受け、ニューヨーク株式市場では株価が急落。なかでもイーロン・マスク氏がCEOを務めるテスラ社は大きく値を下げ、株価はこの3カ月ほどでほぼ半減している。
こうしたアメリカ経済やテスラ株の変調は、新NISAなどでアメリカ株にも投資している日本の利用者にまで影響は及ぶのか?
「美しい!」トランプ大統領がテスラの新車を絶賛
アメリカが提示した停戦案をウクライナが受け入れた事を受け、再びトップ会談を行う意向を示したトランプ大統領。

11日、ホワイトハウスで記者から「ゼレンスキー大統領を再びホワイトハウスに招待する?」と問われ「もちろん」と答えたトランプ大統領の傍らには、なぜかピカピカの赤い車が止まっている。

さらに、いまやトランプ大統領の右腕として辣腕を振るうイーロン・マスク氏とその息子、X(エックス)くんの姿もあった。
実はその赤い車は、マスク氏がCEOを務めるテスラ社の新車「モデルS」だった。

「おお、美しい!」と見た目を絶賛し、「ワオ、パネルが違う。全部コンピュータだ!美しい!」と、“最高の製品”だと持ち上げたトランプ大統領は、この車を購入すると明言した。
このパフォーマンスの裏にあるとされるのが、これまでアメリカ経済をけん引してきたテスラ社の苦境だ。
トランプ大統領による相次ぐ関税措置のあおりを受け、ニューヨーク株式市場では株価が急落。なかでも大きく値を下げたのがテスラ社だ。CEOであるマスク氏が行う政府職員の大幅削減策などで反感を買い、株価はこの3カ月ほどで約45%下落している。

トランプ大統領は「この男(マスク氏)はテスラに人生をささげている。(それなのに)一部の人から不当な扱いを受けている」と訴えた。
新NISAにも影響?
こうしたアメリカ経済やテスラ株の変調は、新NISAなどでアメリカ株にも投資している日本の利用者にまで影響が及んでいるのか。街で聞いてみた。

60代:
少し増えています。まだ始めて半年です。
――トランプ政権になってから落ちた?
40代:
なってから落ちてます。
30代:
増えたときもあれば、減ったときもある。一概に言えない。今のところは。

では、アメリカ経済が不透明の中、今後についてどう思っているのか?
40代:
自分が持ってる株だったりとか、そういったところの影響っていうのは気になります。
40代:
今買ってる銘柄はあまり影響ないかなと思っているけど、これから購入するときに考慮しながら…。
40代:
とにかく続けることが大事って言われているので、今はあまり気にせず…。
新NISAは「慌てず冷静な判断を」
そもそもテスラ株はなぜ急落しているのか。
第一生命経済研究所の首席エコノミスト、永濱利廣さんによると、急落の背景にはマスク氏への批判が強まっているということもあるが、それだけではないという。

1番の原因は、メディアのインタビューでトランプ大統領が、景気後退の可能性を否定しなかったこと。これがアメリカ株全体の下落につながったとしている。さらに、「テスラ自身の不安要素」が加わったこと。具体的には、「業績への懸念、世界的なEV需要の低迷などが重なり、株価が“暴落”した」と指摘している。

永濱さんは、「トランプ氏の発言などをきっかけに今後も今回のような下落はあるかもしれない」が、新NISAでは「長期的な資産形成を目的に積み立て投資で利用している人が多いので、そこまで心配する必要はない。慌てず冷静な判断をしてほしい」としている。

また、今後注目するポイントとして、永濱さんは「株価が下がったままで放置はできないので、FRBが金融緩和、つまり金利を引き下げることも考えられ、そうなるとアメリカの株価は上昇に転じるのではないか」、「アメリカ株が上昇すれば日本株も上昇する」としている。
(「イット!」3月12日放送より)