さらにノビレチンには、がん細胞の増殖や血糖値の上昇を抑制する働きがあることも示唆されていて、慢性リウマチの予防効果も期待されています。

ノビレチンはほかの柑橘類にも含まれていますが、シークヮーサーの含有量はずば抜けていて、温州みかんの約10倍にもなります。

果実の入手は難しいかもしれませんが、果汁100%のジュースを飲んだり、原液を炭酸やお酒で割って楽しむといいのではないでしょうか。

ノビレチンは果皮に多く含まれるので、マーマレードジャムにするのもおすすめです。果皮を乾燥させた陳皮を煎じて飲んだり、粉にして料理に使うという方法もあります。

おすすめ食品:みかん・柚子

みかんや柚子はノビレチンの含有量はあまり多くないものの、皮の内側や薄皮、筋などにヘスペリジンという別のポリフェノールを多く含んでいます。

ヘスペリジンには抗アレルギー作用があることが知られていますが、それは毛細血管を強化して血流を改善する働きによるものだと考えられています。

だとすれば、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病の予防効果も十分期待できるでしょう。また、高い抗酸化作用を持つビタミンCの働きを高める作用もあります。

ヘスペリジンも果皮に多く含まれるので、マーマレードジャムや陳皮にして利用するといいでしょう。また、みかんや柚子を食べるときには、薄皮や筋を除かずに食べるのもポイントです。

『82歳の認知症研究の第一人者が毎日していること』(扶桑社新書)

杉本八郎
薬学者、脳科学者。主な著書に『世界初・認知症薬開発博士が教える 認知症予防 最高の教科書』(講談社)、『認知症研究の第一人者がおしえる 脳がよろこぶスープ』(アチーブメント出版)

杉本八郎
杉本八郎

1942年、東京都生まれ。薬学者、脳科学者。エーザイ入社後、新薬開発の研究室で高血圧治療薬「デタントール」、そして世界初のアルツハイマー病治療薬「アリセプト」の創薬に成功。アリセプトは97年に米国で、99年に日本で承認・発売。98年、薬のノーベル賞といわれる英国ガリアン賞特別賞を受賞。
99年に日本薬学会技術賞と化学・バイオつくば賞、2002年に恩賜発明賞を受賞。京都大学薬学研究科創薬神経科学講座教授、京都大学大学院薬学科最先端創薬研究センター教授、同志社大学脳科学研究科教授を経て同大学生命医科学研究科客員教授。日本薬学会理事、有機合成化学協会理事などを歴任。14年、グリーン・テック代表取締役に就任。25年4月、名古屋女子大学学長に就任。趣味は俳句、剣道。
主な著書に『世界初・認知症薬開発博士が教える 認知症予防 最高の教科書』(講談社)、『認知症研究の第一人者がおしえる 脳がよろこぶスープ』(アチーブメント出版)