4日に68歳を迎えた石破首相は、7日のトランプ大統領との会談に日系企業の対米投資地図を持参し、日本企業の貢献度をアピールしたい考えだ。
一方、関税の回避や防衛費抑制、尖閣諸島を含む安保強化などを求めたい考えだ。

「次の時代のために働きたい」石破首相が日米首脳会談に向け意欲示す

4日、68歳の誕生日を迎えた石破首相は、トランプ大統領との日米首脳会談を前に、「全身全霊を尽くして国のために働きたい」と決意を強調した。

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石破首相:
(誕生日を迎え)感慨新たなものがございます。(アメリカ)合衆国大統領との会談も控えております。乏しい能力ではありますけれども、持っているかぎりの全身全霊尽くして、国のために、国民のために、次の時代のために働きたいなという決意を新たにしたところでございます。

石破首相は、3日の国会で「法の支配」、「自由で開かれたインド太平洋」の概念は日米両国が共有しており、「齟齬(そご)が生じるとは思っていない」と述べるなど、7日の日米首脳会談に向け、強い意欲を示している。

独自地図で対米投資アピール

青井実キャスター:
石破首相はお土産品のほかに、日本企業の投資先を示す独自のアメリカ地図を持参するということです。

木村拓也キャスター:
地図の現物はないですが、「ジェトロ」日本貿易振興機構が取りまとめた地図です。これを見ると、トヨタ自動車はケンタッキー州やインディアナ州、富士フイルムがテキサス州など、日本企業がアメリカのどこに、どのくらい投資しているかが分かります。さらに最近では、ソフトバンクグループなどが中心となり、今後4年間で、アメリカ国内のAI(人工知能)インフラに78兆円規模の投資を発表しました。

独自に作成した対米投資を示す全米の地図には、こうした実績や今後の見通しなどが盛り込まれている可能性があり、日本の貢献度をアピールしたい考えです。

青井キャスター:
ーー岩田さんは、地図持参の秘策どう思いますか?ほかには秘策があるものですか?

スペシャルキャスター・岩田明子さん:
前回、こういう地図を安倍元首相が持ち込んで、トランプさんの心にすごく刺さって、トランプさんの実績として、トランプさんのXで公表して「俺の手柄だ」となるわけです。これはたぶん刺さると思うので、また今回も同じような形でということで、日本企業がこれだけ雇用創出に貢献するということをアピールする狙いです。

青井キャスター:
ーーアメリカにも得なんだよということを、アピールしていくわけですね。

スペシャルキャスター・岩田明子さん:
特に第1次の政権の時から過去最大の規模になってるんだというのを、強調するという戦略のようですね。

青井キャスター:
日米首脳会談を通しての日本側の狙いを見ていきましょう。

木村キャスター:
日本としては会談を通して、大きく3つのことを求めたいとみられています。1つ目が、「関税」についてです。トランプ大統領は外国からの輸入品に関して、追加関税をかけることを表明していますが、日本を対象に含まないことを確認したい考えです。

2つ目が「防衛費」です。2025年度の防衛予算案は過去最大の8兆7005億円と、防衛費は増額しています。日本として、トランプ大統領にはこれ以上の防衛費増額は求めないことを確認したい考えです。

3つ目が「安全保障」です。日本は「自由で開かれたインド太平洋」を掲げていますが、アメリカに対して、尖閣諸島への日米安全保障条約の適用を含め、それらの地域に安全保障でしっかりとコミットを求めたい考えです。日本としてはこれらの見返りとして、アメリカから、「LNG(液化天然ガス)」の買う量を増やす、輸入拡大を表明するとみられています。

自動車に強いこだわりを見せるトランプ大統領

青井キャスター:
ーー3つの狙い、岩田さんはどう見ていますか?

スペシャルキャスター・岩田明子さん:
トランプ大統領は前政権の時からも、経済政策と安全保障をからめてディールをしてくるというのが特徴ですので、日本側もそれを見て、経済でトランプさんが欲しいものを並べたうえで、安全保障の分野では日本側が絶対に欲しいものをピン留めするというところが、まず鉄板の戦略かなと思いますね。

青井キャスター:
3日に、トランプ大統領と先日面会しましたソフトバンクの孫さん、そして「Open AI」のアルトマンCEOと石破首相は首相官邸で会談したわけですね。そしてトヨタ自動車の豊田会長と水面下で会ったという情報も入ってきています。
ーーこの狙いはどう思いますか?

スペシャルキャスター・岩田明子さん:
ここで特に、豊田会長と水面下で会ったのはすごくポイントだと思っていまして、前回もなんですけど、自動車にものすごいこだわりを見せるんですね。日本にはドイツ車が走っているのに、アメリカ車が走っていないじゃないかと、かなり強く言われました。

前回は自動車関税回避できましたけども、今回も強く迫ってくると思いますので、そこで日本の大手の自動車メーカーが、アメリカで新しい工場を進出させますよということをもし言えたとすれば、それはトランプさんにとってすごくうれしい話になりますので、その根回しなのかなと私は推測します。

青井キャスター:
ーーいずれにしても、言いなりになってしまったら、会談としてはなかなかうまくいかないですよね。

スペシャルキャスター・岩田明子さん:
そうです。やっぱりこちらが欲しいものというのは確実に取らなければいけませんし、不当な要求っていうのはやっぱりのめません。前回も通商交渉は非常に厳しい要求をされましたけど、それを全部はね返しましたので、丁々発止、首脳会談でディールをしてほしいと思います。

青井キャスター:
全身全霊を尽くすというコメントもありますから、注目です。

首脳会談は、現地時間7日に行われる。
(「イット!」2月4日放送より)

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