長野県軽井沢町で大学生など15人が死亡したスキーバス事故から1月15日で9年を迎えた。事故現場の慰霊碑には遺族や関係者が訪れ、犠牲者を悼むとともに再発防止への誓いを新たにした。事故の発生から9年が経過した今も、遺族らの思いは変わらず、安全な運行への願いを込めて慰霊碑に手を合わせた。

「事故を無駄にしないように」

慰霊碑に花を手向け、手を合わせた田原義則さんは、当時大学2年生だった次男の寛さん(当時19歳)を失った。事故以来、遺族の会の代表として再発防止に向けた法整備などを訴え続けてきた。

田原さんは「9年前の悲惨な教訓をもう一度思い起こして、事故を無駄にしないように息子と約束してやってきたことを考えながら手を合わせた」と語った。

当時大学2年生の息子を失った田原義則さん
当時大学2年生の息子を失った田原義則さん
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9年前の1月15日未明、軽井沢町の国道でスキーツアーバスが道路脇に転落。大学生など15人が死亡し、26人が重軽傷を負った。

バスは時速およそ95キロで走行し、下り坂のカーブを曲がり切れなかったとみられ、ギアやブレーキの操作ミスが原因とされた。

事故車両
事故車両

また、死亡した運転手が大型バスの運転に不慣れだったことも判明し、運行会社のずさんな管理体制が明らかになった。

遺族「思い出は19歳で終わった」

事故の発生時刻にバスに乗っていてけがをした大学生(当時)の母親3人が慰霊碑を訪れた。

当時けがをした学生の母親は「バスが運んでいるのは乗客の命と夢と希望なんだということを心に留め置いていただき、その発信も目的に毎年ここへ来ています」と語った。

けがをした大学生(当時)の母親
けがをした大学生(当時)の母親

息子や娘を亡くした遺族も続々と現場を訪れた。

息子・陸人(当時19歳)さんを亡くした大谷慶彦さんは「陸人の思い出は19歳で終わっており、年がたつたび鮮明になってきて『あのとき何やっていたんだろう』と思い出される」と語った。

慰霊碑
慰霊碑

また、娘・衣里(当時19歳)さんを亡くした池田彰さんは「『寒くないか』というのが最初にありました。『お父さんも頑張っているよ』ということだけ伝えた」と述べた。

社長ら2人に実刑判決、控訴

一方、午前5時前には運行会社「イーエスピー」の高橋美作社長も現場を訪れた。高橋社長は「当時と変わることなく、むしろ時間の経過とともに、ますます申し訳ない思いが増しています。申し訳ありません」と謝罪の言葉を述べた。

バス運行会社の社長
バス運行会社の社長

高橋社長と当時の運行管理者は、「事故を起こす可能性を予見できた」などとして、業務上過失致死傷の罪に問われ、実刑判決を言い渡されたが、ともに控訴している。

(長野放送)

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