福袋といえば、百貨店など新年の初売りの定番というイメージがあるが、「本の福袋」は珍しいのではないか。実は鹿児島に、年末年始に「本の福袋」を準備している図書館がある。コロナ禍後も利用者が思うように戻らない中、好評を得ている企画だ。

職員自らテーマを決め選んだ とっておきの3冊

鹿児島県東部、宮崎との県境にある人口2万9000人ほどの町、志布志市。

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市立図書館の一角にどーんと並ぶ、志布志の「志」の字が大きく書かれた紙袋が「本の福袋」だ。図書館なので販売やプレゼントではなく、あくまで貸し出し用だが、普段読まないジャンルの本を手に取ってほしいと10年ほど前から始まり、「面白い」と話題になっている。

福袋は「赤ちゃん」「児童」「ジュニア」「一般」と4つの年代に分けられている。本のエキスパートである18人の職員がテーマを考え、オススメしたい、とっておきの3冊をチョイスした。

2025年は、「かおるしあわせ」や「猫好きの絵本3種」などをテーマにした福袋、74種類が並べられた。

スタッフの一人、竹ノ内美穂さんは「あそぼ!」というテーマで本を選んだ。「難しい言葉が書いていないので繰り返し読んでみたり、親子で一緒に読みながら触れあったりしてもらえたら」と本を選んだ時の思いを語ってくれた。

普段自分では選ばない本が入っていて面白いと好評

この福袋は、「普段自分では選ばない本が入っていて面白い」と、利用者から好評だ。図書館を訪れていた2人の女子高校生も、福袋に興味津々の様子。

1人が、悩んだ末に「希代の悪女揃えました」と書かれた福袋を手にした。理由を聞くと、「元々悪女が好き」なんだとか。そして、「めっちゃ分厚い。3冊入ってる」と、ワクワクした表情でページを開いた。

もう1人は、「最新、お金のしくみが分かる本」を選んだ。「NISAとか投資についての本が入っていた。将来必要だと思うので地道にちょっとずつ知識を増やしていきたい」と意気込んでいた。

多くの人に来てほしいなら「図書館の質を上げよう」

しかし一方で、図書館の利用者数は、減少しているのが実情だ。

志布志市教育委員会の生涯学習課図書館グループリーダー・本田博文さんは、「コロナ後とは言われるが、(電子図書の普及も重なり)来館者は3割ほど減っているのでは」と話す。
「ならば、図書館の質を上げてたくさんの人に来てもらおう」と、利用者を楽しませるさまざまな仕掛けを考えた。

福袋だけでなく、新春限定の福引きや、借りた本のタイトルを記帳できる、銀行の預金通帳そっくりの「本の通帳」など、小さい子どもから高齢者まで、多くの人に図書館を利用してほしいと願う職員の思いが詰まっている。

その願いはきっと通じ、志布志市立図書館はいろんな世代の人がワクワクと出会える場所、親子で触れ合う楽しい場所として愛され続けることだろう。

(鹿児島テレビ)

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