餅を食べる際に気をつけたいこと
・できるだけ温かい状態で食べる
・よく噛んで軟らかくして食べる(よく噛むことで唾液も分泌される)
・飲み込みやすいように細かく切り分ける、薄くスライスする
ただし、井上さんはこうも話す。
「こうした対策をやりすぎても餅の醍醐味がなくなってしまいます。餅を楽しく食べるためにも、食べる側、すなわち私たち自身にも注意を向けてほしいと思います」
認知機能や口内環境が関係
では、どのような人が餅を喉に詰まらせやすいのか。人間側の問題と対策も見ていこう。
年を取ると筋力が落ち、飲み込む力も次第に低下するため窒息のリスクが高まるといわれている。しかし、井上さんによれば、餅による窒息には様々な要因が関係する。なかでも大きな問題は「認知機能の低下」や「口内環境」だという。

「実は認知機能の低下が誤嚥や窒息と関係します。認知機能が正常なら、食材によって『一口の分量はこれくらい』『しっかり噛んでから飲み込む』などの判断ができますが、低下するとそれができなくなります。
しかし、飲み込む動作そのものは身体が反射的にやってしまうので、喉に詰まる危険が高くなる。特に認知症の高齢者や早食いの癖のある高齢者は要注意です」

口内環境の問題については「薬」の影響が無視できないという。