教祖逮捕で「自殺したい」
5月16日に教祖・麻原が逮捕された際に、Xが「自殺したい」と国島に打ち明けてきたこともあった。
国島はXに自殺されないよう、毎日の行動を把握する厳重な監視態勢をとる。国島はXの精神状態を安定させるためカウンセラーの受診も奨めた。

時間が経過するごとにXも段々と落ち着きを取り戻し、地下鉄サリン事件、長官銃撃事件から1年ほどが経過した1996年3月頃には、国島が月に数回「生活指導」を兼ねてXと面会するなど、監察の「ウラ」によるX巡査長調査案件は極秘裏に続けられていたのである。
前述の「長官銃撃事件はXから聞いた。まだ報道されていない」との井上供述は、その頃に飛び出してきたものだった。

余談がある。
当時Xは国島の電話番号を自分のシステム手帳に登録していたが、何故か名前が国島ではなく「国松」と登録していた。うっかりだったのか、わざとだったのか、未だに判っていない。
【秘録】警察庁長官銃撃事件14に続く
1995年3月一連のオウム事件の渦中で起きた警察庁長官銃撃事件は、実行犯が分からないまま2010年に時効を迎えた。
警視庁はその際異例の記者会見を行い「犯行はオウム真理教の信者による組織的なテロリズムである」との所見を示し、これに対しオウムの後継団体は名誉毀損で訴訟を起こした。
東京地裁は警視庁の発表について「無罪推定の原則に反し、我が国の刑事司法制度の信頼を根底から揺るがす」として原告勝訴の判決を下した。
最終的に2014年最高裁で東京都から団体への100万円の支払いを命じる判決が確定している。