韓国の尹錫悦大統領が非常戒厳を宣言し、戒厳司令部が一切の政治活動などを禁じるとしましたが、その後、宣言は解除された。野党は内乱行為だと強く非難し、弾劾の手続きを行うとしている。
「非常戒厳」宣言…野党は尹大統領を弾劾へ
尹大統領は3日夜、最大野党「共に民主党」が国政をまひさせているとして「非常戒厳」を宣言し、一切の政治活動を禁じると宣告した戒厳司令部の部隊が国会の建物に突入する事態となった。
この記事の画像(30枚)国会には、政府に抗議する市民も多数集まる中、「非常戒厳」は解除要求決議案の可決を受け宣言から約6時間後に解除された。
国会で過半数を占める「共に民主党」は尹大統領の辞職を求めることを決め、これに応じない場合、弾劾の手続きを行うとしている。弾劾案は国会に提出されると72時間以内に採決が行われることになっている。
こうした中、一連の騒動を受けて大統領府の室長と首席秘書官ら約10人が一斉に辞意を表明した。
大勢の市民が国会前で尹大統領を強く非難
3日夜から国会前に集まった市民は一夜明けた、4日午前11時半現在も尹大統領を強く非難する声を上げ続けている。韓国の国会前から一之瀬記者に伝えてもらう。
4日朝の韓国紙は「理性を失った非常戒厳私たちは反対する」と1面に社説を掲載する異例の形で尹大統領を批判している。
最大野党「共に民主党」は、即刻退陣しなければ弾劾手続きに入る考えを示している。早ければ4日にも弾劾案を発議し、5日、国会の本会議に報告したいとしている。
弾劾が成立するには、与党から造反議員が少なくとも8人以上必要だが、与党の代表は尹大統領に対し「惨憺たる状況について直接説明しなければならない」と厳しい姿勢を示していることから与党議員の動向にも注目が集まっている。
また、韓国の通信社「聯合ニュース」は、最大野党「共に民主党」の話として武装した兵士が国会に侵入した際、与野党の代表や議長を逮捕しようとする動きが監視カメラで確認されたと伝えている。
国会対策に行き詰まり、非常戒厳に踏み切った尹大統領の求心力の低下は避けられず、政治的な混乱が続くとみられる。
石破首相「在留日本人の安全に万全を期す」日本への影響は?
今回の韓国の動きについて石破首相は「重大な関心を持って注視している」と述べた。
石破首相:
昨晩の戒厳令発出以来、私どもとして特段のかつ重大な関心を持って注視をしているところだ。
そのうえで、石破首相は「在留日本人の安全に万全を期す」とし、現時点で被害情報は入っていないと述べた。
政府内では、尹政権の弱体化による日韓関係への悪影響や北朝鮮の動向を懸念する声が出ている。
一方、羽田空港では、韓国へ向かう人から「暴動とかデモとか韓国でもすごいので会社のほうも心配してて」「不安ですよね 巻き込まれないかが不安」「帰ってこられるのか疑問が昨日一瞬あったんですけど8時間前におこったばかりなので」「ちゃんと飛行機に乗れるか乗り継ぎがあったりするのでそれだけがちょっと心配」など多くの不安の声が聞かれた。
(「Live News days」12月4日放送より)