それゆえ、「うつ病」と誤診断されることも少なくありませんが、うつ病の場合は原因が1つではなく複合的で、強い抑うつ状態が長く続きます。
適応障害の場合は、仕事や人間関係、被災体験など、はっきりした出来事をきっかけに発症し、ストレスの要因を取り除くことで6か月以内に症状が治まるとされています。
30代女性の事例
発達障害グレーゾーンの多くは、大人になってから環境に適応できない自分に気づくため、グレーゾーンと分かった時点で適応障害の疑いがあるともいえます。
ここで医師から適応障害と自閉スペクトラム症の傾向がある(=グレーゾーン)と言われた例を紹介します。

適応障害になったFさん
総務部にいたFさん(女性30代)の仕事は、社員の勤怠などを入力するルーティンワークが中心で、地道な作業が好きな彼女にとって働きやすい職場でした。
しかし、会社のトップが代わったことで従来のシステムや方針が大きく変更され、Fさんのやっていた仕事は外注されることになりました。
新しいトップは、社員にいろいろな業務を経験させるという方針で、Fさんは営業部門へ異動となりました。しかし、内勤しか経験がなかったFさんは緊張の連続となり、お客様と円滑にコミュニケーションをとることが難しく、それが原因でクレームがくるようにさえなりました。