愛媛県内を襲った季節外れの大雨。松山市内は各地で「内水氾濫」が起きて瞬く間に冠水し、松山市が警戒レベル5の「緊急安全確保」を発令する事態となった。

開業したばかりのJR松山駅を襲った水害

2024年11月2日午前11時半すぎの松山市西長戸町では、道路を走る車はナンバープレートの上まで水につかり、自転車を押す女性の足もすねあたりまで水につかっていた。

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台風21号から変わった低気圧や前線の影響で、愛媛県内は午前10時半ごろから雨が急激に強まった。

気象庁は松山市付近で11月2日の午前11時半までの1時間に約100mm、今治市付近では正午までの1時間に約120mmの猛烈な雨が降ったとみられるとして「記録的短時間大雨情報」を出した。

松山市では急激に降った雨を排水しきれず、各地で下水道や用水路などから水があふれ出る「内水氾濫」が起こった。

松山市古三津ではマンホールの穴から5メートルほどの高さまで勢いよく水柱が立ち上がっていた。

松山市松ノ木では、用水路から水があふれ用水路と歩道の境目が分からなくなっていた。道路も冠水し一度進んだ車がバックで引き返そうとしている姿もあった。

影響は松山市内中心部にも見られ、松山城の堀からは水があふれ国道に流れ込んだ。
開業したばかりのJR松山駅も改札口前のコンコースが流れ込んできた雨水で水浸しになり、駅員が排水作業に追われていた。

松山市長戸町で30年営業しているという電気店では、入り口にブルーシートなどを置き水をせき止めようとしていた。

「観測史上最大」となる1時間に78mmの雨が降った松山市は市内を流れる大川や久万川で洪水のおそれがあるとして、一時10地区の10万161世帯18万9552人に警戒レベル5の「緊急安全確保」を発令し、命を守る行動をとるよう呼びかけた。

7月に土砂崩れがあった松山市緑町は?

午後、雨が落ち着いた松山市内を取材した。

お好み焼き店の「くじら」では泥水が店内に流れ込み、製氷機なども壊れてしまったという。

店員の岡田健輔さんは「泥だらけになってたんで、全部水で流してという状況ですね。気づいたら腰あたりまで外がなってたんで、2人で脱出して、戻ってきたら水浸しで」と話した。

2024年7月に城山の土砂崩れのあった松山市緑町では、市の職員らが道路脇にたまった泥水を清掃していた。

矢田共行さん(80)は「(雨が)吹き付けよった。滝のようにね。また(土砂が)落ちるんじゃろかと思った」と不安を口にした。

ただ今回の雨は夏の土砂崩れを受け新たに設置された雨水管を通って排水され、道路に冠水もみられなかったという。

矢田さんは「土砂崩れがあってからこれだけの大雨降ったことないんよ。最初だから(斜面が)持つのかという心配はあった。けど意外と丈夫で安心した」と語った。

愛媛県内ではこの大雨で、一時53の避難所が開設され8世帯10人が避難した。

松山市清水地区の女性は避難する前の正午ごろ自宅のベランダから家の付近を撮影していた。
マンホールから茶色く濁った水があふれ出し、コンビニエンスストアの駐車場は冠水している。

小学校近くでは道が崩れ落ちた被害も

あわや大災害になりかねない被害も発生した。
松山市宮内の小学校の近くでは川沿いの幅約3メートルの道が濁流により崩れ落ちた。

近くの住民によると、「おととい正午過ぎにミシミシと大きな音がしたあと崩れた」ということで、川は3日も茶色く濁っていた。

近くに住む人は「まさか川の水は増水していたんですけど護岸が崩れるとは想像していなくて、自分の身に降りかかってくるとすごく怖いですね」と語った。

(テレビ愛媛)

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