高校生が「探究の力」で、山寺をPRするための2つのプロジェクトを実施。ゲームの要素を取り入れた観光ガイドブックと新たな山寺土産となるお菓子の開発で、山寺への観光客増加やリピーター獲得をねらう。
資金はクラウドファンディングで
10月20日に山形市の山寺で販売された「山寺ゲームブック」は、山形中央高校の文理科学部を中心とした「山寺探究チーム」が、山寺へ何度も取材に訪れ、制作を続けてきたものだ。
この記事の画像(14枚)制作した山形中央高校文理科学部・杉山直史さんが「最初は山寺駅から始まって、『景色を見たいなら4番へ』『見なくていいなら2番へ』と選択肢がある。4番を選ぶと山寺駅の見晴らし台に着く。そこできれいな景色を見ることができる」とゲームブックの見方を説明した。
山寺ゲームブックは、名所や土産物店のページにある質問に答えることで次の行き先が決まり、ゲーム形式で観光を楽しめる仕組み。
2023年から部員2人で進めていたプロジェクトだが、2024年度は新たな仲間も増え、計17人になった。印刷のための資金もクラウドファンディングで集め、このほどカラー刷りのゲームブックが完成した。
一冊500円で、この日、初めて販売にこぎつけた。
「思っていたよりも良いものができた」と杉山さんは満足げだ。
山形中央高校 文理科学部・杉山直史さん:
観光している時はもちろん、後で読み返したりして、「もう一度山寺に来たい」と思ってほしい。
今後も販売するかを含め、山寺ゲームブックの活用方法を検討していくという。
山寺に登りながら考えた梅のお土産
そして、もう一つの山寺活性化プロジェクトが「新たな山寺土産の開発」だ。
学校の近くにある菓子店「佐藤屋」の協力を得て進めてきたもので、ベースとなるのは、おなじみの「のし梅」。
昔、出羽三山参りの際に滋養強壮のために食べられていたことをヒントに、実際に山寺に登りながら商品の構想を練るなど、研究を続けてきた。
山形中央高校文理科学部・石井陽向さんは「江戸時代の方々の体験を追体験できるようないい商品ができた」と語る。
それが、外はシャリっとした食感、中はじゅわっと梅が香るしっとりとした琥珀(こはく)糖。“宝珠山・立石寺に浮かぶ月”をイメージし「宝月のかけら」と名づけた。
石井さんは「若者や外国人にも食べてもらえる。全世代、色々な人にうける商品」と自信を持っている。
「盛り上げてもらいたい」の声も!
今回のイベントでは、試験販売として12個入りを20箱用意したが、すぐに完売するなど反響は想像以上だった。
試食した人は「おいしい。甘みがあって、口の中で酸っぱいものがジュワっと広がる感じがする」「シャリシャリしている」という。
「盛り上げてもらいたい。とても魅力的だったので店に寄った。今後もやってほしい」と話す人も。
山形中央高校 文理科学部・伊藤みやびさん:
もうほとんど売れてしまっているが、皆さんにとてもおいしいと感想を言ってもらってうれしい。
今後は商品化に向け、SNSでの発信やイベントでの販売を行う。
山形中央高校文理科学部・黒柳葉月さんは「山寺に何回も来るリピーター客になってほしい。観光客を増やすきっかけになるような力になっていきたい」と力強くコメントした。
高校生たちの「探究の力」によって、山寺にまた新たな楽しみ方が加わりそうだ。
(さくらんぼテレビ)