7月の記録的大雨で住宅などが床上浸水した、山形・酒田市竹田地区にある「排水ポンプ」について、国は10月5日の説明会で、当時の稼働状況を詳しく説明した上で、被害軽減の調整会議を新たに設置する考えを示した。
排水ポンプ「正常に稼働していた」
2024年7月の大雨で、酒田市竹田地区では内水氾濫が発生。地区の40棟以上が床上浸水し、農地も冠水するなどの大きな被害があった。

住民からは、地区内の内水を排出する2基の「排水ポンプ」が、何らかの原因で十分に稼働していなかったのではないかと指摘されていた。

5日夜、2回目の住民説明会が開かれ、住民からは「これは災害ではなくて人災ではないですか?」と指摘する声も挙がった。
排水機場を管理する国交省酒田河川国道事務所の担当者は、施設が健全だと判断された2024年6月の点検結果に加え、大雨の日の運転記録のログデータを示した上で、「正常に稼働していた」とする調査結果を明らかにした。

酒田河川国道事務所担当者:
7月25日の出水ではポンプは動いていた。公称通りの能力も出ていたと考えている
2基のポンプはこの時の大雨で故障したため、国は復旧作業を終えるまでの措置として現在「ポンプ車」6台で代替運用をしているが、9月20日からの大雨の際に『新たな課題』も浮き彫りになった。

竹田地区に住む堀崇さんは、当時のポンプ車の様子について「ショックというか、額面通りの流量(能力)は出ていない実感。その様子は集落の人何人かが見ている」と話した。
地区の住民が当時、撮影した映像では、地区内の川から水をくみ上げたポンプ車が、国道をホースでまたいで最上川に排水している様子がわかる。

しかし、敷設されたホースは押し出す力が足りないためか十分に膨らんでおらず、水がうまく排出できていないようにも見える。
堀さんは説明会で「圧力がダウンしてホースがぺなぺな。性能上は『6台で毎秒6トン排水する』と言っているが、おそらく3分の1ほどしか出ていないのが実感」と、当時の様子について語った。

これについて、国交省酒田河川国道事務所・郡山秀樹副所長は「今回のポンプ車の運用については改善の余地があったと我々も考えている。スムーズに水が流れるようしていく措置は講じていかなければならない」と回答した。
減災目指す「調整会議」設置へ
また、今回の出来事を受け、竹田地区の減災を目的とした「連絡調整会議」を、県や市などと設立することを明らかにした。

一方の住民側は、「50年以上前に設置された排水機場の2基のポンプは現代の大雨には対応できない」として、より高性能なポンプの新設や、仮設のポンプ車については増設などを求めた。

竹田地区住民・堀崇さん:
データを見せられれば、7月の大雨の際は一応ポンプは回っていたのかなと。住民としてはあのくらいの雨が降っても十分に対応できる揚水能力があるポンプにしてほしい
--ポンプ新設の可能性も排除せずに議論進める?

酒田河川国道事務所・郡山秀樹副所長:
いろいろな観点から調整会議の中で、一番良いのは何かをしっかりと考えていきたい
調整会議は10月中に設置される。
排水機場は2026年度の本復旧に向け修復が進んでいるが、災害が再び発生することに不安を抱える住民も多く、「早く結論を出すべきだ」との声も上がっている。
(さくらんぼテレビ)