10月1日から、建国記念日の「国慶節」の大型連休に入った中国。
日本では考えられないほどの渋滞に加え、スーパーマーケットで男が無差別に人を切りつける凄惨な事件も起き、子どもを含む18人が被害に遭った。
またこの事件に対し、公安当局が「何も話さない」という署名を求めたという。
各地の混乱をFNNが取材した。
トンネル内でバトミントンする人も…
国慶節の7連休では、延べ19億人以上が移動するとされている。
この記事の画像(38枚)連休中は、全国の高速道路が全て無料となるため、ご覧の通りの大・大・大渋滞。
ブレーキランプの赤い光が延々と続き、先頭がどこなのか確認できないほどだ。
ノロノロと進む車のスピードは時速7キロで、早歩きほどのスピードしか出ていない。
渋滞は夜が明けても解消せず、中には車を降りて、犬の散歩をさせる人の姿もあった。
また風の無いトンネル内では、バドミントンで時間つぶしをする人もいた。
その周りでは、ドライバーたちが見物していた。
故宮・万里の長城で大混雑
中国の旅行サイトによると、国内における今年の旅行先の1番人気は北京。
実際、世界遺産の故宮には、早朝から多くの人が詰めかけていた。
「午前3時22分の列車に乗って(河北省から)来た」という人や、「午前1時に(ホテルを出たあと)タクシーに乗って、天安門広場の国旗掲揚を見た」と話す人もいた。
国慶節の初日、故宮の入場が始まり、非常に多くの観光客が中へと入っていく。
また、市内だけではなく、北京郊外にある世界遺産・万里の長城も大混雑だ。
家族連れで来ていた人は、あまりの人の多さに少しぐったりした様子で、「国慶節だから人が多いのは仕方ないですね」と話していた。
スーパーで無差別切りつけ発生
一方、この大移動を前にした中国では、痛ましい事件が起きた。
9月30日夜10時前、上海市のスーパーマーケットで、無差別切りつけ事件が発生。
37歳の中国人の男が、その場で拘束された。
当時の店内を捉えた防犯カメラの映像を見ると、青いシャツに黒のパンツ姿の男が、両手に刃物を握っているのが確認できる。
男が現れると辺りに悲鳴が響き渡り、慌てて逃げる人の姿が見られる。
最初の切りつけは3階で発生し、さらに男は1階まで移動しながら、手当たり次第に犯行に及んだという。
目撃した人は、「ナイフが血だらけだった」「(犯人は)人を見たら、大人でも子供でもお年寄りでも刺した」「亡くなった人の中には子どももいた」と話していた。
犯人の男は、店内で無差別に人を襲ったという。
犯行直後に撮影されたとみられる映像には、女性が子供を抱きかかえる横で、脇腹を押さえながら倒れている人の様子が記録されていた。
また、「人が切られた、刃物で切った」と叫ぶ人の声も聞こえる。
この事件で18人が切りつけられ、うち3人が死亡、残る15人がけがをして治療を受けている。
被害者の中に日本人はいなかった。
「何も話さない」公安が署名求める
一夜が明け、現場は物々しい雰囲気に包まれていた。
事件のあったスーパーマーケットでは、警察が入り口を封鎖し、誰も中に入ることはできない。店の周りには警察官が配置され、住民が近づくと追い払うような様子が見られた。
スーパーマーケットの店員の話では、公安当局から「何も話さない」という署名を求められたという。
SNS上からも関連する動画が削除されるなど、できるだけ速やかに鎮静化させたい、当局の思惑があるとみられる。
男が犯行に及んだ理由について、地元当局は個人的な経済トラブルが理由だと発表。
「容疑者は経済的問題を抱える地方の若者で、うっぷんを晴らすためだったようだ」としている。
中国では、9月18日に南部の深圳(シンセン)市で、日本人学校に通学していた10歳の男子児童が殺害されるなど、刃物による事件が相次いで発生。
日本大使館は中国にいる日本人に対して、外出の際は安全確保に努めるよう呼びかけている。
(「イット!」10月1日放送より)