2024年の猛暑が、農作物に深刻な影響を与えている。
梨農家では、高温障害で黒ずんだ梨が廃棄され、被害額は約100万円に達する見込みだ。
また、猛暑にともなう台風や熱帯じょう乱の影響も懸念されている。
収穫間近の梨に深刻な影響
厳しい残暑が、秋の味覚にも異変をもたらしている。
この記事の画像(11枚)11日、東京スカイツリーの広場にオープンした屋台の縁日では、表面に傷がついた梨、いびつな形のサツマイモなどの“訳あり品”が並んでいた。
このイベントは、記録的猛暑の影響を受けた、ふるさと納税の返礼品を提供する事業者を応援しようと開かれた。
購入した人は、「やっぱり買ってあげないとかわいそう。せっかく1年間育てて作っているのに」と話していた。
縁日では、茨城県産の紅はるかを冷凍焼き芋にしてアイスを乗せた、暑い日にぴったりなスイーツや、シャインマスカットやナガノパープルなど、サイズがそろわなかったもので作った「ブドウあめ」などが販売された。
形はいびつでも、もちろん味は変わらない。
信州うちやま農園・内山俊政代表は、「今後、猛暑なり何なりで何があるか分からないですけど、第3の出荷形態の受け皿として認知されれば十分ありがたい」とコメントした。
一方、記録的な猛暑によって、千葉・市川市の梨農園では、収穫間近の梨に深刻な影響が出ている。
梨農家・板橋健一さんは、「今年は被害がとても多いんで、黒くなっているのが分かりますかね」と、梨の表面を見せてくれた。
梨の表面を覆うのは、シミのような黒ずみで、板橋さんは、「この黒くなっている部分が、高温障害」だと説明した。
強い日差しや高い気温の影響で、梨の表面が黒く変色して傷む「日焼け」の被害が出ている。
特に被害が出ているのは、実が大きく、今が収穫の最盛期を迎えている「新高」という品種だ。
梨農家・板橋健一さんは、「新高の5割ぐらいは、ほんとにこんな感じにダメになって出荷できない」と肩を落とした。
「気候が変わって、作る場所が合わないのか」栽培中止も検討
黒ずんだ梨の断面を見てみると、実の部分も変色していた。
通常の梨と比較しても、高温障害が出た梨の断面は一目瞭然だ。
梨農家・板橋健一さんは、「1年手をかけて半分がダメっていうのは、すごく残念ですね。暑すぎちゃって、平均気温が高すぎちゃうんで、だんだん気候が変わって、作る場所が合わないのかなと」と語った。
暑さの影響で廃棄が年々増えているため、「新高」の栽培をやめることも考えているという。
この日も収穫中に廃棄される梨が多くあった。
2024年の猛暑によって廃棄される梨の被害額は、約100万円にものぼるという。
一方、残暑とともに心配されるのが、台風を含む熱帯地方で起こる大気の乱れ「熱帯じょう乱」だ。
今週発生した2つの台風の“卵”のうち、1つが台風13号「バビンカ」に発達し、14日から16日にかけての3連休で、沖縄や奄美付近に最も接近する見込みだ。
もう1つの台風の卵は台風とはならない見込みだが、21日から23日の3連休へかけて、さらなる「熱帯じょう乱」が発生するおそれがあり、2週連続で警戒が必要だ。
(「イット!」 9月11日放送より)