広島・廿日市市の大規模な開発工事で発生した土砂が海に流れ込み、船着き場に堆積した問題。9月に入って新たな動きが…。市は開発工事と土砂流入の関連を認め、海底をかさ上げしている土砂を掘り出す作業が始まった。

土砂の撤去始まり、船主ら安ど

廿日市市の中心部にほど近い船着き場で、9月2日から海底の土砂をすくい取る工事が行われている。

廿日市市の海上にある作業用の台船
廿日市市の海上にある作業用の台船
この記事の画像(6枚)

4日の午前中、現場では係留された船が端に寄せられ、広いスペースに大きな台船が浮かんでいた。台船には油圧ショベルがのっていて、かなり大がかりである。
ちょうど満潮の時刻、水深3メートルはある海底をショベルが深く掘っていく。アームが上がると、黒い土が姿を見せた。1かきあたり約1.2トンの重さがあるそう。この黒い土が次々と台船へ運ばれていった。

船着き場には元々、長年蓄積された土砂やヘドロがたまっていたが、急な変化が目立つようになったのは2023年秋ごろだった。

ひとたび雨が降ると土砂混じりの茶色い水が海に流れ込む。どんどん海底が高くなり、干潮時には一部の船が出港できなくなった。

廿日市小型船主組合の塚本雅彦副組合長は「引き潮が大きくなったときには海底がすごく近くなって、プロペラが海底にあたることもありました。土砂を撤去して深くなるとそういう心配がなくなりますのでよかったです」と、安心した様子で話す。

大規模開発と土砂流入の関連認める

大量の土砂が堆積する要因となったのが、廿日市市が企画し、2023年5月から官民連携で始まった観光交流施設と産業団地の大規模開発。

船着き場から1キロほど離れた山間で木の伐採工事などが進み、流れ込んだ土砂が海底を最大で約20センチかさ上げしたとみられている。
廿日市市は調査の結果、大規模開発と土砂流入の関連を認め「海水をせき止める水門などの下水道施設の機能維持を図るため」として、予定していた土砂撤去工事の時期を早めた。

海底からすくい取った土砂を移すたまり場
海底からすくい取った土砂を移すたまり場

海底からかき出された土砂は「たまり場」に移されていく。工事が始まって3日目、たまり場の土砂は2メートルほど積み上がっていた。すべてが大規模開発の現場から流れてきたとは限らないが、かなりの土砂がたまっていたことがわかる。

船着き場から土砂をすくい取る作業は約1週間かけて行われ、船が出港できなくなるなどの状況は改善される見通しだ。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
テレビ新広島

広島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。