世界一周をした熊本の小学校の先生が報告会を行った。先生が子供たちに伝えたかったこと、そして世界を回って気づいた『幸せ』について話を聞いた。
世界一周のきっかけは新型コロナ
熊本市立武蔵小学校の嶋尾遥先生は2年生から6年生の生徒たちに、「今から1時間目の世界一周の授業を始めます」と語り掛け「約10カ月で40カ国行きました」と話した。嶋尾先生が一念発起して、世界一周に旅立ったきっかけは『新型コロナ』だった。
この記事の画像(13枚)嶋尾先生は「2年前の5月にコロナになったんですけど、その時にホテル療養を10日間しなくちゃいけなくて。自分は昔は『80年ぐらい生きるんだろうな』とか思ってたんだけど、『あー、なんか自分っていつ死ぬか分からないんだな』っていうのを実感した」と話す。
そして、嶋尾先生は「死ぬまでにやりたいこと、もし何でもできるとしたらやりたいことっていうのをノートにバーッて書き出しました。その時に一番ワクワクしたのが『世界一周』っていうことで…」と世界一周を志したという。
1年間、独学で英語を勉強し、旅行資金をためた嶋尾先生。世界一周の旅行資金について聞くと「以前調べた時、相場が150~300万円の方が多かったから、まあ200万円、1年で200万円でちょっとで厳しめかなぐらいだったんですが」と話した。
号泣の1週間で学んだ助けを借りる大切さ
嶋尾先生が最初に訪れたのはベトナム。そこから世界一周が始まったが、スタートから『寂しさ』が心を襲ったという。
嶋尾先生は「最初はもうとにかく心細くて。なんか『これから1年間、放浪するんだ』って思うとすごく寂しくて、最初はずっと1週間ぐらい泣いてました。もうほんと号泣レベルで。でもその時、同時に学んだっていうか、できた心構えが、人から助けを借りる大切さを学びました。やっぱり一人では何もできないし、やっぱちょっとずぶとくないと旅はできないし」と当時を振り返る。
『人から助けを借りる大切さ』を知り、「助けてもらうことによって、逆にその人との絆ができたり、学ぶこともたくさんあった」と話す。
40カ国での大切な出会いに思い出の景色
約10カ月間で訪問したのは40カ国。100人を超える人たちとの出会いがあった。
一番心に残った出会いについて、嶋尾先生は「トルコのめちゃくちゃど田舎に行ったことがあって。ホストファミリーの家に行ったらイギリスの女の子が来ていて、その子がなんと日本語を勉強している子だったんですよ。だからすごく仲良くなって3週間過ごしたんですが、その後もずっと連絡を取っていて、『じゃあ遊びにおいでよ』って言ってくれて、イギリスのその子の実家に遊びに行かせてもらって、1週間泊めてもらった」と話した。
また、世界一周の目的の一つだったフィンランドのオーロラについて、「すごく印象に残っています。私が旅に出て『絶対に行きたい』って思っていたのが、一番オーロラが見られる所だったので、本当に感動しました」と話す。
また、印象に残った場所について「あとはボリビアのウユニ塩湖。もうすごくすてきで。上の景色がそのまま下に映って本当にもう『青空の下』青空の時のウユニ塩湖はもう本当に天国にいるような感じで。それは本当に心に残ってます」と旅の思い出を語ってくれた。
世界一周で「幸せはそこら中にある」
一方で、火山を見るために訪れたエチオピアでは、車に乗り合わせたスタッフの家族が戦争で亡くなったという知らせを目の当たりにしたこともあった。
嶋尾先生は「その土地ってまだ内戦中だったんですよ。日本だとそんなことなかなかないじゃないですか。だからその時は、身近な大切な人といられるありがたさ、本当にありがたいことなんだなっていうのを、身にしみて感じたし、なんかもっとその身近な人を大切にして過ごしていきたいとか」と、旅を通した気づきを語ってくれた。
また、様々な国の人や文化に出会うことで『幸せ』についても気づいたことがあった。嶋尾先生は「今は、『幸せ』はもう本当にそこら中にあって、それをあとは気づくかどうかだけなのかなっていうふうに思うようになりました。それが自分の中で一番、そこに気づけてよかったなって思うことですかね」と話す。
「やりたいことに挑戦してほしい」
嶋尾先生は世界一周に行くときに見送ってくれた教え子たちにも、自らの経験を伝えた。
嶋尾先生は「『幸せ』についてもそうなんですが、一番伝えたいことはやりたいことに挑戦してほしいということですね。なんかやりたいっていうエネルギーってすさまじいから、それに向かって頑張るのって結構すごく楽しいことなんですね。失敗は成長するからそうやって子供のうちにすごくたくさんやりたいことにどんどん挑戦してほしいなっていうふうに思います」と話した。
嶋尾先生は「ずっと先生は続けるつもりなんですが、それと併せてこの世界一周をして学んだことだったりとか、世界の美しい景色や人の生活だったりとか、あとはやりたいことをやってほしいとか、そういう夢に向かっていくっていう大切さとか、そういうメッセージを伝える活動をこれからしていきたいなと考えています」と話し、今後も自らの経験を伝えていきたいという。
(テレビ熊本)