パリオリンピックのボクシング女子に出場した選手の性別をめぐって、大きな議論が起きている。

鼻に強烈なパンチ受け46秒で棄権

問題の発端は、ボクシング女子66キロ級の2回戦で、アルジェリアのハリフ選手とイタリアのカリーニ選手の対戦。

開始から40秒ほどたったところで、カリーニ選手が手を上げ、試合は中断。
コーチにヘッドギアのベルトを締め直してもらうが、その表情は曇っているように見える。

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その後、すぐに試合は再開されたが、顔に強烈なパンチを受けたカリーニ選手は再び試合を中断。
鼻を負傷したとして、46秒で棄権した。

試合終了後、勝ったハリフ選手は握手を求めたが、カリーニ選手は拒否。
リング上でひざをつき、涙を流した。

「男性の染色体を持つ女性」の出場に議論が

この試合に勝利したハリフ選手の出場に賛否の声が上がり、イタリアの首相も巻き込んだ大きな議論となっている。

それは、ボクシング女子に出場したハリフ選手が、男性の染色体を持つ女性だということから。

ハリフ選手は、2023年の世界選手権では、「男性ホルモンのテストステロン値が高い」として出場が認められなかった。

テストステロンとは、骨格や筋肉を作り上げるのに重要な働きをするため、この値が高いと、たくましい男性のような体つきになるといわれている。

しかし、IOC(国際オリンピック委員会)は、ハリフ選手の出場を認めたうえで、次のような声明を発表した。

IOC声明:
すべての人は差別なくスポーツをする権利がある。選手の性別はパスポートに基づいている。

一方、IBA(国際ボクシング協会)のクリス・ロバーツ事務総長は、「IBAとしては、この選手がわれわれの開催する大会への出場を認めませんでした。だから今回のようなことが起きた。われわれの規定通り、彼女には資格がないということです」と語った。

さらに、ハリフ選手と対戦し46秒で棄権したカリーニ選手の母国・イタリアのメローニ首相はメディアの取材に対し、「対等な試合ではなかった。男性の遺伝子的特徴を持つ選手が女子種目に参加すべきではない。誰かを差別したいからではなく、女性アスリートが対等な条件で戦える権利を守るためだ」と話している。
(「イット!」8月2日放送より)