原材料費や人件費が高騰する中、業界では価格戦略の二極化が加速している。
激安弁当でスーパー各社がしのぎを削る一方、ひとつ1480円の高級海苔弁も「きょうは特別」などと幅広い層の支持を得ている。
税込み200円台の格安弁当
弁当業界で価格戦略の二極化が進んでいる。

帝国データバンクによると2025年「弁当店の倒産」は55件と、2024年を上回り2年連続で過去最多となった。
原材料費や人件費の高騰で、中小弁当店の倒産が相次いでいるという。
こうした中、スーパーマーケットは驚きの格安弁当を提供している。
2025年、都内に初出店した「トライアル西友」が手がける「ロースかつ重」は、税抜き277円(税込み299円)。安くておいしいと評判だ。
さらに、西日本を中心に展開し、“日本一安いスーパー”を豪語する「ラ・ムー」では「からあげ弁当」が税抜き198円(税込み213円)、ナポリタンは税抜き99円(税込み106円)だ。
買い物客:
他の店だと約500円するのでだいぶ(安さが)違う。(弁当は)2〜3個買えそう。全体的になんでも安いので助かります。
「ラ・ムー」は、驚きの価格をかかげて、3月に首都圏に初進出する。
他にも東海地方発の「バロー」、また「オーケーストア」など、スーパーでは弁当の価格競争が激化している。
1480円と2300円の2種類のみの海苔弁
その一方で、高級志向で勝負する弁当店もある。

取材したのは東京・港区にある海苔弁の専門店「海苔弁 いちのや 虎ノ門店」だ。
海苔弁といえば手頃な価格のイメージだが、この店の戦略は違う。

販売している弁当は、1個1480円の高級海苔弁「東京名物海苔弁」だ。
さらに、2300円の季節限定海苔弁「桜坂」の2種類のみだという。
初めて購入したという人たちからは「逆に高いから食べてみようと思った」「おいしいもの食べたい。普段ならちょっと高いが、今日は特別」「他の海苔弁とどう違うのかみてみたい」という声が聞かれた。

「海苔弁 いちのや」は、2020年に1号店をオープン以降、高級海苔弁ブームの火付け役となり、店には行列ができる日もある。大阪や名古屋にも進出している。

株式会社いちのや・長谷川和彦社長:
全国各地の料理人がいろいろ回って「これがおいしい」という食材を見つけて、仕入れている。
人気の理由は、全国各地から取り寄せた素材と味にこだわった食材にあった。
冷めてもおいしいと評判のご飯は新潟のブランド米「新之助」と、もち麦をブレンド。
海苔は瀬戸内海産の高級海苔を使用し、関東本樽仕込みの秘伝のだし醤油を染み込ませる。

そしてメインには、海苔弁に欠かせない特大の「白身魚フライ」に「ちくわの磯辺揚げ(宮城・塩釜産ちくわ、高知・四万十川産青海苔)」と、すべての食材にこだわった“究極の海苔弁”だ。
売り上げの主力は配達で、定番の海苔弁は幅広い世代に親しまれ、大人数の場で重宝されているという。

株式会社いちのや・長谷川和彦社長:
海苔弁当というのは、やはり日本の文化という部分があるので、これからインバウンドの方に対する需要をどうとっていくか。いずれは海外展開も考えています。

価格戦略の二極化が進む弁当業界。自身のSNSでスーパーの格安弁当を投稿する消費経済アナリストの渡辺広明さんは今後、客のニーズごとにますます多様化していくと指摘する。
消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
弁当業界は他業種の参入により、胃袋の争奪戦が起こっています。大企業でも安い商品だけ売っていると、付加価値を上げられなくて単価も上がらない。安い商品とは別に高付加価値商品。企業の中で両方品揃えするところは、大手にも出てきているのではと思います。
(「イット!」3月9日放送より)
