鹿児島県・大隅半島にできた宿泊施設「ユクサおおすみ海の学校」が人気だ。図書室を模した部屋で読書したり、黒板にチョークで落書きしてもOKなど、子どもも大人も魅せられているユニークな施設。実は元々、本物の「学校」だったのだ。

“ようこそ”海の学校へ!

海沿いに錦江湾や桜島、開聞岳を眺めることができる日本有数のサイクリングコースとして有名な「国道220号」。大隅半島・垂水港から国道220号をまっすぐ南に25分ほど車を走らせると、その施設は見えてきた。

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広い校庭に2階建ての校舎。学校にしか見えないこの施設が、「ユクサおおすみ海の学校」だ。“ユクサ”とは大隅半島の方言で「ようこそ」という意味で、ここは体験型の宿泊施設だ。

もともとは「菅原小学校」という鹿屋市立の小学校だった。2013年に閉校したが「日本一海に近い学校」とも言われ、2008年には小学校の遠泳大会をテーマにした映画「チェスト!」(松下奈緒さんほか出演)のロケにも使用された。学校の施設をまるごと生かして、約6年前に宿泊施設として生まれ変わり、さらに2024年のリニューアルを経て、今に至っている。

教室や図書室で非日常的な一日を

スタッフの白石さんに施設の中を案内してもらった。

白石さんは医療関係の仕事をしていたが、ユクサおおすみ海の学校の魅力にひかれて1年前に転職し、今はこの施設の「教頭」を務めている。

彼方にそびえる桜島
彼方にそびえる桜島

白石さんの後をついて施設の階段を上ると、過去に小学校の子どもたちが使っていた名残を感じる廊下に出た。光の降り注ぐ窓から外に目をやると、錦江湾の奥に、桜島がそびえていた。水飲み場や木の机も残されていて、まるで時間が止まっているようだ。

設置された黒板に落書きも
設置された黒板に落書きも

気になる宿泊部屋。最初に案内してもらったのが、「2段ベッドの部屋」(1泊素泊まり・1人5000円~)。中に入ると、そこはまさに教室そのもの!目を引いたのは黒板で、チョークで落書きしてもOKとのこと。

部屋に置かれた2段ベッドは、子どもたちの間で上か下で取り合いになることもあるという。上段が人気ということで、子どもたちはここで非日常を味わいながら、ここでしかできない話を深めているようだ、と白石さん。

次に案内してくれたのは、「図書室を模した部屋」(1泊素泊まり・1人7700円~)。部屋には、200~300冊もの本がある。図書室に泊まって、ゆっくり読書をするのもオススメだ。子どもが小学生になったことを機に宿泊したという父親は「夏休みのいい思い出になった」と充実した表情で語った。

そのほか、プロジェクターとスクリーンが備え付けられた視聴覚室や、元は職員室だったという部屋(1泊素泊まり・1人7500円~)もあり、どの部屋に泊まっても、非日常的な一日を過ごせることがわかる。

食事とアクティビティも魅力的!

ユクサおおすみの魅力は宿泊だけではない。プライベートビーチでのマリンアクティビティも、大きな魅力だ。

サーフボードに乗りながらパドルを使って進むSUPやカヤックなど、海遊びもできる(SUP、カヤックツアーは1人7700円~ ※小学生以下は6600円~)。

たくさん遊んだあとは、カフェ「SHOUGAKKO」でひとやすみ。

爽快な刺激「ジンジャかき氷」
爽快な刺激「ジンジャかき氷」

オススメのメニューは、夏にピッタリのかき氷だ。「ジンジャかき氷」(400円)を頼んでみると、小学校らしくビーカーに入ったかわいらしい容器にマリンブルーのかき氷が入っていた。口に運ぶとショウガの刺激がほどよく広がる、爽快な一品だった。

また、屋外の調理スペースではバーベキューを楽しむことができる。
食材が用意される宿泊プランもあり、大隅が誇る厳選された肉や新鮮な野菜が好評だ。食材や食器を持ち込めば、施設の使用料のみでリーズナブルにバーベキューを楽しむことも可能だという。

3方向を海に囲まれた大自然の中で、宿泊、食事、アクティビティの3つを親子で楽しめる施設は希少だ。白石さんは、「学校に泊まるということはあまりないことなので、非日常体験を楽しんでもらえたら」と微笑んだ。

この夏は、ユクサおおすみ海の学校でスペシャルな思い出を作ってみてはどうだろうか。ユクサ、大隅!

(鹿児島テレビ)

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