地面を足で蹴って進むランバイクをご存じだろうか?ペダルのない自転車だ。このランバイクの世界レースで頭角を現した少女が静岡市にいる。小学生になってからは陸上もはじめ、50m走で同学年の県内1位に輝いた。二刀流の彼女の目標は世界と戦える“国内無敵のスピードスター”になることだという。
力強い蹴り 迫力のスピード
この記事の画像(11枚)ランバイクに乗って颯爽と登場してくれたのは、静岡市の東海大静岡翔洋小学校2年生・渥美成梛(せいな)さん、7歳だ。
小柄な体からは想像できないほどの力強い蹴りに、迫力のスピード、そして小回りの利いたカーブ。走り出したら、もう止まらない。
渥美さんは「速く足を回すところが楽しい」と、ランバイクに夢中になる理由を話す。
ランバイクはペダルがない自転車で、足を使い地面を蹴って進む。2歳から9歳までの競技で、世界でレースが開催されている。地面を蹴り続けてきた渥美さんのふくらはぎには、しっかりと筋肉がついていた。
さらに、速く走るためには視線も重要という。真下ではなく斜め前に向けるのがコツで、その道を極めるには奥が深いスポーツだという。
2歳で世界デビュー 父の狙いは?
渥美さんがランバイクに出会ったのはわずか1歳半の時。2歳から出場できる世界大会があると知った両親が、「幼い頃から世界を知ってほしい」とプレゼントしたことがきっかけだった。
コーチは父の友彦さんで、週に5日、二人三脚のトレーニングをしてスタートダッシュに磨きをかけた。
2023年には全国大会で準優勝を果たすなどトップライダーの1人に成長。8月に中国で開かれたアジア選手権では、「6歳女子の部」に唯一の日本人として出場し、350mレースで47人中9位と健闘をみせた。
父の友彦さんは「小さい頃から世界を目指すためにランバイクを始めた。大きくなるにつれて日本だけでなくて世界を見られて、世界の子が速くて、それに対して娘も勝ちたいという気持ちが出てきた。練習するにつれて走ることが出来てきて、たくましい。成長を感じてすごくいいなと思う」と娘の着実な成長を喜ぶ。
陸上でも県内屈指のスプリンター
実は渥美さんはランバイクで鍛えた脚力を活かし、別の競技でも頭角を現してきている。
陸上でも県内屈指のスプリンターなのだ。ランバイクと陸上の二刀流アスリートだ。
陸上を始めてからわずか5カ月後の2023年9月には、県西部小学生大会の50mで8秒83の好タイムを叩き出した。この記録は同年の小学1年生の男女で県ランク1位に輝いた。まさにスーパーキッズだ。
そんな彼女に取材した小倉彩瑛アナウンサーが勝負を挑んだ。スタート早々から速さの違いは歴然で、あっという間に大差をつけられた。勝った渥美さんは余裕のピースだ。
小倉彩瑛アナ:
速い!置いていかれた。差をすごく広げられちゃいました
「無敵のスピードスターに」
渥美さんに「陸上の楽しいところは?」と尋ねると、「大会で優勝する時や3年生以上に勝つことがうれしい」と答えた。また「2つの競技を同時にやって大変?」と聞くと、「大変じゃない。陸上もランバイクもどっちも楽しい」と返ってきた。
ランバイクと陸上の二刀流。どちらにも欠かせない脚力が、互いの競技に相乗効果をもたらしている。
今後、世界と戦うアスリートを目指すためにも、今の目標は国内では敵なしの“スピードスター”になることだ。
渥美成梛さん:
(目標は)ランバイクは日本チャンピオンになること。陸上では7秒後半でもいいから7秒を目指したい
7歳の二刀流少女は無限の可能性が広がる未来へ走り続ける。
(テレビ静岡)