“3億2600万円”この数字は、秋田県内で2024年5月末までに確認された詐欺の被害額だ。中でも「SNS型投資詐欺」が13件で1億4900万円、「ロマンス詐欺」が同じく13件で1億3600万円と新しい手口の2つの詐欺被害が大半を占めている。(※秋田県警がまとめた速報値)
こうした中、依頼が急増しているという秋田県警による詐欺被害防止の出前講座を取材した。
5万円の電子マネーが30万円になる手口
「コンビニからひんしゅくを買う覚悟でずばり言います。皆さん、もしこの先に電子マネーを買う時が来たら、だまされていると思ってください」と、話すのは、県警生活安全企画課の大友武志さんだ。

大友さんは、秋田市で開かれた出前講座で講師を務め、電子マネーを悪用した詐欺の手口をわかりやすく解説した。「当選金の受け取り手数料」や「パソコンの修理代」などとして、見知らぬ相手から利用権をだまし取られる被害が後を絶たない。

上限が5万円までしか買えない電子マネーがなぜ30万円も詐取されるのか。
県警生活安全企画課・大友武志さんは「1回買って犯人に電子マネーの番号を教えますよね。そうすると『番号が無効になっていますよ。もう1回買ってください、最初のは補償しますから』と言って、また5万円」と電子マネーで高額が詐取される手口を説明する。
高齢者を狙った詐欺の実態と防止策
高額の詐欺被害額が見出しに踊る新聞記事の見方についてもアドバイスした。

県警生活安全企画課・大友武志さん:
「いやあ、あるところにはあるな」「よくためたな」「まだあるんじゃないか」など、新聞を見て覚えているのは金額だけ。しかし、われわれが見てもらいたいのは金額ではなく中身。なぜ被害に遭ったか。お金に対する欲もそうだが、異性に対する興味や意欲も狙われている。一人で判断しないで誰かに相談して、常に疑うことを覚えてほしい。
話を聞いていた70代の女性は、以前、見知らぬ人物がLINE(ライン)で接触してきたという。

女性は「突然LINEに“お友達かも”ではなく、突然ボンっと入ってきた。〇〇経済研究所所長の〇〇です。『私も興味あります』『それに参加したいです』と次から次へと2~3分おきに、1時間くらいで40件近く入った。ちょうどお稽古の日だったのでそこで話したら、ブロックの仕方を教えてもらった。本当に気持ち悪かった」と振り返った。

出前講座を依頼した加藤長二郎さんは「毎日起きていることは何だと、『詐欺だ』と。それでみんなで講座に申し込んだ」と依頼のきっかけを教えてくれた。そして「詐欺と言われても内容がわからない。電子マネーがどんなものなのか。被害額は秋田ではどうなのかということを聞いたりして、秋田の人は純粋なのかなとも思ったりした部分もあるが、本当に参考になった」と話した。

県警生活安全企画課・石井孝さんは、秋田県警察では、被害防止のために色々な場所で防犯講話を実施していることを説明した上で、「この防犯講話を聞いた人が被害に遭わないように気を付けてもらうとともに、さらに家族や友人、近所の人にもこの内容を伝えてもらい、被害防止を呼びかけてほしい」と注意を呼びかけた。
詐欺被害への関心が高まっている
講座の開催依頼は、2023年の13件に対し、2024年はすでに40件ほどに上っている。それほど県民の詐欺被害への関心が高まっているといえる。出前講座には誰でも申し込むことができる。
問い合わせは、県警察本部生活安全企画課【018-863-1111】へ。
(秋田テレビ)