7月3日から新しい紙幣が発行されることに伴い、山形県内でも対応が進んでいる。いつ新紙幣が発行されるのか知らない人もいる中、日銀山形事務所の所長は“旧紙幣”に関する誤った情報や詐欺に注意が必要だと話す。
世界初 2つの偽造防止技術を採用
新しい日本銀行券は、7月3日から発行される。

“1万円札”は、生涯に500もの企業の設立に関わった実業家・渋沢栄一。
“5千円札”は、日本初の女子留学生で、女性への教育に尽力した津田梅子。
そして“千円札”は、破傷風を予防・治療する方法を開発した細菌学者・北里柴三郎の肖像に変わる。
紙幣のデザインが変わるのは2004年以来、20年ぶり。

日銀山形事務所・川村憲章所長:
昨年末の銀行券の発行残高は124兆円。銀行券はキャッシュレス化が進むもとでも、引き続き多くの人に使われている。引き続きお札を安心して使えるようにするため、新しい偽造防止技術を追加して、新しい銀行券を発行します
川村所長によると、新しい紙幣には、世界初の偽造防止技術が2つ採用されているという。

1つ目は“3Dホログラム”で、お札を傾けると、三次元の肖像が回転するという仕掛けになっている。

2つ目は“高精細すき入れ”だ。
現在のお札は肖像の箇所のみすかしだが、新しい銀行券では肖像の背景にも高精細なすき入れが入っている。
飲食店対応迫る 発行日知らない人も
一方、新しい紙幣の発行まで1カ月、現金を扱う飲食店は券売機の更新を迫られていた。

山形市中野目にある「らーめん健心」の小山田健一さんは、「7月から新しくなるお札、うちは1000円札しか使えない機械だが、センサーを変えないといけない。費用は11万から12万円かかる。個人店にとっては決して安くない金額を負担することになる」と話す。

さらに、らーめん健心では半年前に券売機の更新を依頼したが、業者の対応が間に合わず、更新は8月までずれ込む見込みだという。

小山田さんは、「更新までは手作業で、お客さんから新紙幣を預かって両替することになると思う。人手も割かないといけないので大変」と話していた。
そもそも、あと1カ月で紙幣が新しくなることを皆さんは知っているのだろうか?
(Q.新しいお札はいつから?)
山形市・70代:
7月3日。自動販売機が、それまで新紙幣が使えるようになるか心配

山形市・大学生:
今年の7月3日から。偽造防止の点については、今のお札より良くなっていると思うので心配ないと思う

紙幣が変更される日付を把握している人もいたが、中には知らない人もいた。
山形市の大学生は、「最近変わると聞いたが、具体的な日にちは気にしたことがなかった。今までのお札はどうなるのか不安はある」と話していた。
“旧紙幣”に関する詐欺に注意
日銀山形事務所の川村憲章所長は、新しい紙幣の発行に伴い、“旧紙幣”に関する誤った情報などを信じないように注意を呼びかけた。

日銀山形事務所・川村憲章所長
新しい銀行券の発行後も、現在の銀行券を引き続き使うことができるので、新しい紙幣に交換する必要はない。「今の銀行券は使えなくなる」といった誤った情報や詐欺に注意してほしい

業界団体の日本自動販売システム機械工業会によると、銀行のATMや鉄道の券売機は、7月3日までにシステムの改修がおおむね終わる見込み。

一方で、至る所に設置してある飲料などの自動販売機については、台数が多く利用率に差があることから、7月3日以降新しい紙幣が使えない所も出てくるという。
山形県内ではラーメン店のほか、ほとんどの温泉施設でも券売機の更新が必要となっている。

券売機によっては数百万円するものもあるということで、らーめん健心の小山田さんは、「ほかの県では券売機の更新・買い替えの補助をしている自治体もある。ぜひ山形でも考えてほしい」と話していた。
あらためて、新紙幣発行に便乗した詐欺にも注意したい。
(さくらんぼテレビ)