ガソリン価格の事前調整疑惑について「事実は確認できなかった」と長野県石油商業組合が県に報告した。これに対し阿部知事は「県民が納得すると思いますか」と声を荒らげた。これを受け、組合は「県からの強い要望だと受け取った」として改めて、実態調査を行う考えを示した。

「危機感がない」声荒らげる

県石油商業組合に加盟する複数のガソリンスタンドで店頭表示価格を事前調整したとされる問題。

組合は2月28日、阿部知事に実態調査の中間報告をして、高見沢秀茂理事長は「事実確認を(2月)13日に各支部長等にした結果、それぞれに『事実は存在しない』との返答があり、報道の事実確認はできませんでした」と述べた。

知事に報告
知事に報告
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これに対し、阿部知事は「これだけの報告、これで県民が納得すると思いますか。2月13日に集まってどういう話しされたんですか。皆さんは危機感がない」と声を荒らげた。

高見沢理事長は「公取委の言を借りれば『動かないでください』と、組合として」と話し、組合側は、公正取引委員会の検査が入ったことを理由に、「より詳細な調査をしようとしたができなかった」とした。

知事が語気強め「努力して」

報告内容や組合幹部の姿勢に知事が語気を強める場面も。

組合の関与について、阿部知事から「報道されているようなことは起こるはずがないと断言できるのか」と問われると、高見沢理事長は「少なくとも組合の上部においては絶対ない。(現場の)本人たちの意識の低さをもっと上げるべく、啓もうしていかなければ」と答えた。

長野県石油商業組合の報告を受けた知事
長野県石油商業組合の報告を受けた知事

阿部知事は「県組織で、『私と部長はそんなことをやってないけど、職員はもしかしたらわかりません』と、そんなこと絶対、私言えないですよ。現場の職員だって問題を起こせば私の責任ですから。組合としてのコンプライアンスの順守徹底、組合自ら、事実関係をしっかり確認して、県民の皆さんに伝えていただく、こうした努力はぜひしてほしい」と厳しく指摘し要望した。

「県から強い要望」再び調査へ

組合は当初、公正取引委員会の判断を待って今後の対応を考えるとしていたが、3月4日取材に応じた組合の幹部は、「県からの強い要望だと受け取った」と話し、組合独自でも改めて実態調査を行う考えを明らかにした。

長野県石油商業組合
長野県石油商業組合

また、組合員の法令順守を徹底していくため、近く組合の中に「コンプライアンス委員会」を立ち上げる予定だという。

県民は「ちゃんと調べて」

県民からは「(知事が)相当怒っていると感じた。県民のために言っているんだと。まだはっきりしていないのでこれからもう少しちゃんと調べてほしい」、「組合の調査よりも第三者機関のような調査を期待したい」、「長野は車がないと生活できないので生活に密着する部分なのでしっかりやってほしい」といった声が聞かれた。

資料
資料

問題を巡っては北信支部が関与してカルテルを結んだ疑いがあるとして、公正取引委員会が2月18日に組合に立ち入り検査をしている。

(長野放送)

長野放送
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