子どもの特性を把握し、就学に向けた支援をより強化しようという「5歳児健診」が、2025年6月26日から福岡市で始まった。

5歳は人間形成の重要な第一歩

福岡市中央区の円龍幼稚園に通う5歳児。いわゆる「年中組」の子どもたちだ。ハサミを使って紙を切ったり、クレヨンで絵を描いたり、この日は、思い思いに「七夕飾り」を作っていた。自ら考え、夢中で手を動かす子どもたち。5歳になる時期は、どんなことができるようになるのか?

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円龍幼稚園の小林春菜教諭は「言葉の数とかコミュニケーションも上手にできるようになって、大人と変わらないくらい対等に話せるようになってきて、友だち同士の関わりが増えてきたり、ルールのあるゲーム遊びもできたりするようになってくる」と5歳児について話す。

この5歳の子どもたちを対象に福岡市は、6月26日から発達の様子を確認する5歳児検診のモデル事業を始めた。

「ちゃんと順調に成長しているか…」

これまで福岡市では乳幼児向けに生後4か月、10か月、1歳半、3歳で検診を行っていたが、発達の遅れなどに気づきやすくなる5歳で、新たに始めた「健診」を受けてもらうことで、子どもの特性を把握し、その子に応じた必要な支援につなげたい考えだ。

5歳児を育てる母親は「不安材料があるのであれば、早めに5歳児健診が役立つと思うので、それに関しては賛成です」と前向きに受け止めている。

また同じく5歳児を育てる別の母親も「3歳児健診が終わって小学校まで何もないじゃない。ちゃんと順調に成長しているかとか気になるので、5歳児健診があると安心です」と賛成の意向だ。

5歳児健診では、問診や身体測定のほか、専門家が集団で遊ぶ様子を観察するなどして、発達の状況や社会性などを確認する。福岡市こども健やか課の古江健樹課長は「活動が活発になってくる時期なので、就学後の集団生活を含めたこの時期の子育ての悩みや不安を相談して頂いたり、その子に応じた就学までの流れを知ってもらったりする機会になれば」と話す。

5歳児健診は、希望者のみの申し込み制で2026年3月まで合わせて12回、福岡市内3カ所の保健福祉センターで実施される予定になっている。市は今後、保護者の意見などを聞きながら事業の拡大も検討していく方針だ。

課題は受け皿とサポート体制

この5歳児健診は、各自治体の判断で任意で行われているものだが、元々は国が全国の自治体での実施を目指して、健診の費用を助成するなどの支援を強化している。福岡県内でもすでに宗像市、大野城市、香春町、吉富町、添田町、糸田町で実施されている。

こども家庭庁によると、この5歳児健診は発達障害などのスクリーニングも目的にしていて、特別な配慮が必要な子どもに対して早い段階で介入することでスムーズに学校生活を送れるよう支援につなげることが狙いだ。

ただ、健診を受けて支援が必要となった場合、その受け皿が必要となるし、そのサポート体制をどのように増やして行くのかは、今後の課題となってきそうだ。

(テレビ西日本)

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