食の雑誌「dancyu」の編集部長・植野広生さんが求め続ける、ずっと食べ続けたい“日本一ふつうで美味しい”レシピ。
植野さんが紹介するのは「エビチリふわふわ卵」。
訪れたのは、六本木にある中華料理店「和チャイナ Roppongi」。存在感たっぷりの海老がゴロゴロ、ピリ辛のエビチリと卵を掛け合わせた、ごはんが進む最強のおかずだ。エビの食感が格段にアップする技を紹介する。
麻布十番の半地下にある中華料理店
「和チャイナ Roppongi」があるのは、東京港区、麻布十番駅。
「麻布十番というのは高台に囲まれた場所にありまして坂が多い。江戸時代、鳥居家の屋敷があった鳥居坂など、いろいろな坂に囲まれています。今は地下鉄がありますが、かつては交通の便が悪くて“陸の孤島”なんて言われていました。住んでいる人が多いので生活に必要な店、特に飲食が充実しています」と植野さん。

麻布十番駅から徒歩3分、大通りに面したビルの半地下に店を構える「和チャイナ Roppongi」。
大きな窓から陽が差す店内は、テーブル席がメインの洗練された空間だ。
日本人好みの中華料理をひとりで追求
厨房から料理の提供まで、ひとりで切り盛りするのが、オーナーシェフの新見哲郎さん。
中華料理をベースに京都の白味噌や和辛子・出汁などを使い、和と中華を融合させた創作中華のスペシャリストでもある。

中華の枠にとらわれない、日本人好みの味を追求した「和チャイナ Roppongi」は、知る人ぞ知る店だ。
「あの、いきなりですけど、お店の名前が“和チャイナ”ってなってますよね」と尋ねる植野さん。
新見さんは「和の食材もそうなんですけど、中国の調味料も多く使っています」と店のコンセプトを答える。
苦手な豆腐の変貌に感動し中華の道へ
静岡県清水市で生まれた新見哲郎さん。
高校生の時、中華料理店のアルバイトの面接へ行き、そこで食べさせてもらった麻婆豆腐に、「豆腐ってこんなにおいしいんだ!」「中華ってすごい!」と感動。
苦手だった豆腐の美味しすぎる味わいに新見さんは「親方!ここで働かせてください!」と申し出た。
それからアルバイトとして働き始め、そのまま店に就職し、修業に励んだ。

新見さんは「29歳ぐらいのときに、静岡にホテルがオープンするから、そこで料理長になったんです。今思うとまだまだ小僧でしたから。親方に恵まれたのはすごくあります」と当時を振り返る。
10年ほどホテルで働いた後、別の中華料理店の立ち上げに携わったりと、大所帯の職場が多かった新見さん。
すると58歳の時に「これからは気を使わず一人でできる店をやりたいなぁ」「とりあえず独立するかぁ」と思い、勢いで独立。2013年、六本木に「和チャイナ Roppongi」を開店した。

「働いている人間とかに気を使いたくないなぁって気持ちで、一人でやれるような広さのお店でやるようになったんです。本当に気まぐれみたいな感じ」と新見さんは語る。
オープンから3年後、常連客が増えて徐々に経営が安定。いまや麻布十番になくてはならない店に。
「だから本当に親方に感謝、お客様に感謝、家族に感謝。僕の人生は周りに助けられている人生だなとは思います」と新見さんは感謝する。

本日のお目当て、和チャイナ Roppongiの「エビチリふわふわ卵」。
一口食べた植野さんは「ソースの香りや辛さがえびのしっとりとしたおいしさに合う」と絶賛。
和チャイナ Roppongi「エビチリふわふわ卵」のレシピを紹介する。