「詐欺」のワナがあちこちで横行する昨今、だます手口も日々変化しており、今や若者もターゲットになっている。2023年には約1億4800万円の被害が発生するなど、警察は注意を呼びかけている。

「還付金」「老人ホーム」特殊詐欺の横行

愛媛県警察のまとめでは愛媛県内で2023年の1年間に約1億4800万円の特殊詐欺の被害が確認されている。

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「ご利用料金が1年間長期未納ということで、本日最終での通知が届いております。現在ですね、民事裁判のお手続き進んでおりまして、早急にご対応が必要となっております」

5月初旬に愛媛県内で実際にかかってきた特殊詐欺の電話内容だ。
「裁判の準備が進んでいる」「早急な対応が必要」など不安をあおる言葉を巧みに使い金をだまし取ろうとする。

高齢女性:
マンションに住んでるんですけどね、たまにそういう話は聞いたことある。

「100万円、母親がやられたので。ATMから母親が振り込みさされたことがあったので。それはもちろん腹立たしいし、とにかく多すぎますよね、あらゆる詐欺が」と、中には家族が実際に被害にあった人もいる。

家族などになりすますオレオレ詐欺は減ったものの、「老人ホームの入居権が当たった」や「還付金の払い戻しがある」「電気料金の未払いがある」などだましの手口は様々だ。

SNSを使ったロマンス・投資詐欺

そんな特殊詐欺をはるかに超える被害額で注目されている新たな「詐欺」がある。

愛媛県警察特殊詐欺対策課長補佐・近藤章警部:
SNSをきっかけとしてお金をだまし取る投資詐欺・ロマンス詐欺というのが多く発生しています。一度も相手に対面することなくだまし取るのがこの詐欺の特徴です。

インスタグラムやフェイスブックなどのSNSやマッチングアプリなどを利用して近づいてくる「投資詐欺」や「ロマンス詐欺」だ。

「投資詐欺」や「ロマンス詐欺」は、愛媛県内でも2023年の夏ごろから被害が目立ちはじめ2023年の1年間に76件の被害が確認されている。

被害額は約5億6000万円。特殊詐欺の被害の約3.8倍に及ぶ。
被害は2024年に入ってもおさまらず、4月末時点での被害額は約4億2500万円と2023年を大幅に上回るハイペースだ。

SNSを利用した詐欺の最新の手口を実際にあった事件をもとに再現

松山市に住む男性は、SNSを通じて1人の女性と知り合った。
その後、SNSで直接やり取りを重ねるうちに、女性に対し恋愛感情を抱くようになった。

ある日一通のメッセージが届いた。

「おじが海外の投資をしていて利益を出している」「近々日本に戻るので一緒にお金を稼ぎましょう」

相手のことを信用していた男性は教えられるままに投資アプリをダウンロードし、アプリ内でマネージャーの指示に従って指定された口座に現金を振り込んだ。

近藤章警部によると、ロマンス詐欺の手口の特徴は、恋愛感情や信頼関係を十分に作ってから、つまり、時間をかけて相手と人間関係を築くことだという。
ロマンス詐欺といっても、事案の9割以上が、投資話に話が発展し、投資名目にお金をだまし取られているという。

以前の「ロマンス詐欺」のように恋愛感情を利用して結婚話などを持ちかけ送金させるのではなく、さらに投資への意欲や関心を誘って大金をだまし取るパターンがほとんどだということだ。

様々な手口で…警察が注意喚起

SNSを使った新手の「投資詐欺」、街の人に聞くと、「ショートメール。携帯の方に高収入得られますみたいな『ここをクリックしてください』みたいなっていうのはあったんで、怪しいなと思ったんですけど」「僕1回だけ外国人の方から『お金楽に稼げる方法ありますよ』みたいなメール来たことあるんですけど、そういうのは来ても無視して、そのアカウントブロックするようにしてます」など話した。

他にも有名人をかたって投資を呼びかける不審な広告やメールを目にした人は多いようだ。

SNS型詐欺の主なターゲットはSNSに不慣れな中高年層(40代から60代)だというが、20代30代の若い方でも被害にあった方もいるという。

近藤警部は「SNSで出会った相手からの投資の話を信用しないように」と注意を呼びかける。

愛媛県警察特殊詐欺対策課長補佐・近藤章警部:
「必ずもうかる」とか「元本保証」、こういったワードが出てきたら注意してください。多くの県民が詐欺の被害にあっています。詐欺の手口を知ってあなたの大切なお金をだまし取られないようにしていただきたいと思います。

スマホ一つで世界中がつながる現代、詐欺の甘いワナは至るところに潜んでいる。
「自分は詐欺にあわない」とたかをくくらず、慎重な姿勢が必要だ。

(テレビ愛媛)

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