2021年、福岡・うきは市で叔父を車でひいて殺害、保険金約1500万円をだまし取ったとされる男の初公判が開かれた。初公判冒頭、被告ははっきりとした声で「無罪です」と起訴内容を否認。ほかにも初公判で何を語ったのか?

うきは市での事件「私は無罪です」

2024年5月27日、福岡地裁911号法廷。落ち着いたようすで初公判に臨んだ会社役員の松成英一郎被告、57歳。殺人の罪などに問われている。

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松成英一郎被告は罪状認否で、「私は叔父を殺害していません。その時間帯に現場には行っていない。私は無罪です」と、はっきりとした声で起訴内容を否認した。

事件が起きたのは2021年4月。起訴状によると松成被告は、うきは市浮羽町の駐車場で叔父の西村一敏さん(当時64歳)を車で何度もひき殺害したとされている。

目撃者:
ここに変な車が止まっとったけん、ここは車が入られんとって、いつも。で、人間がポロッち出とった。

さらに松成被告は、西村さんを殺害したにもかかわらず保険会社に「後退中の車両のタイヤに巻き込まれて事故死した」と嘘の書類を提出。保険金、約1500万円をだまし取ったなどとされ、殺人を含む3つの罪に問われている。

西村さんが生命保険に加入した経緯を知る親族は。

西村さんの親族(2021年10月):
「もし、かずさん(西村さん)に何かあったときには」という話に(松成被告と)なって。「かずさんの保険を一本、俺の名前で入れていいか」という話になって、英一郎(松成被告)のこと、信用しとったし…。

松成被告は、自分の会社で西村さんの面倒を見る一方、西村さん名義の生命保険に加入、保険料も肩代わりして支払っていたという。

火葬場で「あっぱれ!あっぱれ!」と大声

取材班が入手した火葬場での写真には、荼毘に付される前の西村さんを見送る松成被告の後ろ姿が映っている。故人との「最後の別れ」を惜しむ場。しかしこのとき、松成被告は思いもよらない大声をあげたという。

松成被告(取材メモより):
一敏!あっぱれ!あっぱれ!みんな、あっぱれって言ってやれ!

この言葉はいったい何を意味していたのか―。

起訴内容を否認 弁護士側「不幸な事故」

事件から3年を経て始まった裁判。争点になったのは西村さんの死が他殺か事故死か。そして松成被告が犯人であるかどうかだ。

初公判冒頭、はっきりとした声で「私は叔父を殺害していません。無罪です」と起訴内容を否認した松成被告。弁護側も冒頭陳述で「松成被告は西村さんを殺害していない」「偶然の積み重なりで起きた不幸な事故」と主張。

西村さんにかけられた保険金については「西村さんが故郷に帰るときの準備資金」「保険の受領は争わないが、正当な保険請求」などと訴えた。

一方、検察は冒頭陳述で、「松成被告にはギャンブルの損失などの動機があり、直前に西村さんの保険を増額するなどしていた。計画性、犯行の残酷さ動機の悪質さ、結果の重大性に注目して欲しい」と主張。

裁判は今後、松成被告への被告人質問などが行われ、6月28日に判決が言い渡される。

(テレビ西日本)

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