新型コロナウイルスの感染症法上の扱いが5類に移行して丸1年が経った。介護施設では、感染防止と規制の緩和のバランスを見極めながら入所者の生活を守っている。5類移行から1年後の介護施設の対応の変化について施設を取材した。

5類移行から1年…“面会の場”に変化は?

新潟県見附市にある特別養護老人ホーム「ケアガーデン新幸」。

面会をする場の光景は、5類に移行したばかりの1年前とあまり変わらず、今も家族との面会はマスクをした上でパーティションを隔てて行われていると藤井文恵施設長は話す。

特別養護老人ホーム「ケアガーデン新幸」
特別養護老人ホーム「ケアガーデン新幸」
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「まだまだ施設の中の罹患もあったり、職員もそうだが、面会いただいた方も帰ってから熱が出て陽性だったという話を聞くと、なかなか自由な面会に踏み切ることが施設としてもできない。それまで歩けていた方が1週間寝ると、私たちは元気に回復するが、高齢者はぐっと筋力が落ちてしまう」

面会や日常生活で“緩和”した部分も

ただ、握手やプレゼントの手渡しといった身体的な接触は可能に。これによって入所者の表情も大きく変わるという。

ケアガーデン新幸 藤井文恵 施設長
ケアガーデン新幸 藤井文恵 施設長

「そのときの表情がもう格段に違う。私たちは日頃、親身に支援しているが、家の方が触れあう・お話しするところには敵わない」

また、施設の中では、入所者のマスクの着用を緩和していて、この日もレクリエーションやお茶の時間には全員がマスクをしていなかった。

消毒・マニュアル…感染防止策は現在も徹底

一方で、感染防止策は引き続き徹底されていて、職員は「指の間など(入所者自身が)手の届かない所をしっかり消毒できるように努力している」と話す。

スタッフルームには、感染者が出た際の初動マニュアルが置かれていた。

藤井施設長は「しっかりここだけは守ろうね、そこを守ることで感染の拡大リスクが格段に下がることを何度も経験する中でノウハウとして培ったもの」と感染禍の経験を生かしていた。

防護服などへの補助終了 施設の負担に…

一方、国の制度に準じて県が行ってきた防護服や消毒にかかる費用への補助は2023年度で終了した。これにより、感染防止策をとらなければならない施設側の負担は増しているのが実情だ。

「今後は施設で買って備蓄したものを順次使う。補助金が出ないので、施設の経営においても感染拡大はダメージが大きい」

演奏会や交流活動を再開した施設も

同じ見附市にある高齢者福祉施設「フローラ」では、新たな動きも見られている。

高齢者福祉施設「フローラ」
高齢者福祉施設「フローラ」

感染拡大で止まっていた演奏会などを再開。地域の人との交流活動を秋以降、10回ほど行ってきたという。

その理由について、石坂勝史施設長は「地域とのつながりは入居者の皆様の生活の質を向上させる重要な要素」と説明する。

5類移行後も感染自体はなくならない中、高齢者施設では、現状をつぶさに観察しながら、感染防止と緩和のバランスを図っていた。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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