母の日の定番、赤いカーネーションが1本308円——。中東情勢の影響が花の値段にまで波及し、鹿児島市内の生花店では昨年より約100円高い水準が続く。一方、デパートでは平均単価8000円の贈り物を求め、日傘やスカーフといった紫外線対策グッズが人気を集めている。年に一度のこの日、花屋もデパートも「お客さんの負担をなるべく減らしたい」と工夫を重ねている。
「昨年は200円くらい」 赤いカーネーションが値上がりした背景
鹿児島市内のフラワーショップ花咲では、母の日を前に赤をはじめさまざまな色のカーネーションが店頭に並ぶ。客層は子供から大人まで幅広く、年に一度の贈り物を求める人々が訪れる。
ところが2026年は、気になる変化が起きている。定番の国産赤いカーネーションの価格は1本308円。昨年は「200円くらい」だったというから、約100円の値上がりだ。

同店の倉田武人さんは値上がりの理由をこう説明する。
「中東から入ってくるカーネーションがゼロじゃないけど少ないですから、国産の値段が上がりますよね」
中東情勢の影響で海外産の花の入荷が減り、品薄感が広がった結果、国産カーネーションの価格も押し上げられている。花の流通は国際情勢と切り離せない——そんな現実が、鹿児島市内の生花店の店頭にも色濃く映し出されている。
粗利は減っても「品が良くて安い花を」 店が続ける仕入れの工夫
値上がりが続く中、倉田さんたちが取り組むのが仕入れルートの多様化だ。海外産が品薄になるなか、品質が良く値段も手頃な中国産カーネーションも扱うことで、複数の色を組み合わせたフラワーアレンジメントなどの店頭価格が極端に上がらないよう調整しているという。

「値上がりもしていますが、花屋さんの粗利は減っている。できるだけ品が良くて安い花を目をこらして(仕入れるよう)頑張っています」
仕入れ価格は上がっても、販売価格に全てを転嫁するのは難しい。その差を店側が吸収しながら、お客さんの負担を抑えようとする姿勢がにじむ。
店イチ推しは「永遠の幸福」 紫のムーンダスト
そんな花咲で倉田さんが特に推すのが、紫色のカーネーション「ムーンダスト」だ。
「素晴らしい花言葉『永遠の幸福』という花言葉ですから、これをお客さんに申し上げたら必ず買っていく」

「永遠の幸福」という花言葉は、母への贈り物としてこれ以上ない言葉かもしれない。倉田さんがこの言葉を添えて紹介すると、客の多くが手に取っていくという。
同店ではこのほか、複数の花を組み合わせたフラワーアレンジメントも取りそろえ、予算に合わせた幅広い対応を用意。値上がりという逆風の中でも、感謝を花で伝えたいという気持ちに応えるための工夫が続く。
デパートの平均単価は8000円 売れ筋は「紫外線対策グッズ」
花以外の贈り物を探している人に目を向けると、鹿児島市のデパート・山形屋でも母の日キャンペーンが開催されている。同店での母の日贈り物の平均単価は約8000円で、夏本番を前に紫外線対策グッズが売れ筋だという。
中でも注目を集めているのが日傘だ。近年はコンパクトタイプよりも、よりしっかりと日差しを遮れるロングタイプの人気が高まっている。2026年に登場した人気ブランドのロングタイプ日傘は、布部分の半径が約60センチ。生地に特殊な加工が施されており、紫外線だけでなく熱も遮る効果があり、雨の日にも使えるという。柄も華やかで、贈り物としての見栄えも申し分ない。

スカーフ400枚超、ハンカチはイニシャル入りで「特別感」
日傘と並んで人気を集めているのがスカーフだ。おしゃれを楽しみながら首元の紫外線対策もできるアイテムで、山形屋では約400枚もの多彩なデザインがそろう。価格も3000円台から1万円以上まで幅広く、贈る相手の好みや予算に合わせて選べる。

「スカーフを巻くのは難しそう」という声に応えるのが、スカーフリングだ。このリングを使えば、結び方に自信がなくても簡単におしゃれに身につけることができる。
また、イニシャル入りのハンカチも実用性の高さと特別感から人気を集めており、他の商品と合わせて贈る「ちょい足し」の一品としても重宝されているという。

「感謝の気持ちは普段照れくさい」 売り場で聞いた本音
5月7日の売り場には、それぞれの母を想いながら贈り物を選ぶ人々の姿があった。
「母はハンカチが好きなので、ハンカチにしようか2つ贈ろうか考えている」「母の日は改めて母のことを考えながらプレゼントを選ぶので大事な日だと思う」「場所を取らないものや形に残るものなら小さめのものを選ぶ」
そして、ある客はこう話した。
「母の好きなものをあげたい。感謝の気持ちは普段なかなか言葉にするのも照れくさいので、こういう時に乗っかって伝えられたらいいな」
この言葉は、多くの人が共感できるものではないだろうか。花でも日傘でもスカーフでも、贈り物は「照れくさくて言えない感謝」を届ける手段でもある。
値上がりという現実がありながらも、花屋は仕入れを工夫し、デパートは多彩なラインアップで選択肢を広げる。それぞれの現場が、年に一度の「ありがとう」を届けたい人々の気持ちに応えようとしている。母の日、贈り物に込めた感謝が、確かに届くことを願いたい。
