福岡・大牟田市にある旧国立病院で、複数の男性介護士が女性患者など6人に対し下半身を触るといった性的虐待を繰り返していたことが判明した。取材班は、ある音声を独自に入手。そこから見えてきた虐待の背景とは。

地域医療の中核担う病院で問題が発覚

4月最終週、大牟田市内の病院で開かれた、ある説明会の音声。謝罪を繰り返す院長に対して、入院患者の家族らが怒りの声を上げる。

【説明会録音音声(関係者提供)】
病院院長「私も院長として、この病院で、この案件が起こったことを非常に辛く思っておりますし、責任を感じております…」
入院患者関係者「虐待って言っているけど、一般社会では刑事事件ですよ!これ、犯罪なんですよ!」

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厚生労働省が所管する国立病院機構「大牟田病院」は、400以上の病床を備え、地域医療の中核を担う公的な医療機関だ。この病院で問題が発覚したのは、2023年12月のことだった。

「介護してもらうときに男性介護士に下半身を触られた」。1人の入院患者が、病院側に訴えたのだ。病院は「重大な問題」とみて、院内で広く聞き取り調査を実施。その結果、明らかになったのは、職員から患者への虐待が疑われる行為だった。

身体の自由きかない患者に性的虐待

病院によると、関与した職員は、看護師と介護士合わせて男性5人で、入院していた男女11人が被害に遭っていた。11人はいずれも身体的な障害を抱え、中には全身の筋肉が徐々に弱っていく国指定の難病「筋ジストロフィー」の患者もいたという。

被害について、病院の担当者は「就寝時に陰部を直接、揉む行為を行った。女性利用者の胸付近を触る行為を行った」と説明。

身体の自由がきかない患者の尊厳を踏みにじる許されない行為。病院側が開いた説明会では、患者の家族などが怒りをあらわにした。

入院患者関係者:
「虐待」って言っているけど、一般社会では刑事事件ですよ!犯罪なんですよ!

川崎雅之院長:
そこはそうなんですね…、特に陰部を必要以上に触ったという「強制わいせつ相当」と思わざるを得ない…

そして、説明会の参加者から虐待が起きた原因について問われると、「個々の職員の虐待に関する認識は様々な状況でしたので…、何が虐待なのか…」と判然としない説明をした。

第三者委を設置 原因究明へ

「職員の倫理観が欠如していた」と弁明した病院側。

病院内で虐待が疑われる場合、被害者が住民票を置く自治体が虐待の有無を判断することになっていて、今回、被害者11人のうち6人について自治体が「虐待を受けた」と正式に認定。残る5人についても調査が進められている。

病院によると、問題に関与した職員5人のうち2人は4月末までに退職したという。

病院はすでに第三者委員会を設置していて、今後、原因の究明を進めるとともに再発防止策を検討するとしている。

(テレビ西日本)

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