能登半島地震からもうすぐ4カ月が経つが、ゴールデンウィークにボランティア活動への参加を考えている人もいるのではないだろうか?

そのような人に知っておいてもらいたいのが、「ボランティアレクチャー」だ。

ボランティア活動をする際に求められる振る舞いや準備、緊急時の対応等について、対面の講座やオンライン会議、動画視聴等で事前に学んだり習得したりする機会のことで、ボランティア活動の際に現地で行われる説明やオリエンテーションは含まれない。

参加したことがない人は多い?

この「ボランティアレクチャー」に関する意識調査を日本赤十字社が実施し、その結果を4月1日に発表した。

日本赤十字社が3月、能登半島地震の被災4県(石川、富山、新潟、福井)の居住者を除く10代~60代以上の男女1200人を対象に実施した「ボランティア活動に関する意識調査」で、「ボランティア活動をする前に、自治体やNPO等が開催するボランティアレクチャーに参加したことがあるか」を聞いたところ、「参加したことはない」は78.3%だった。

「ボランティア活動前にボランティアレクチャーに参加したことがない」78.3%(提供:日本赤十字社)
「ボランティア活動前にボランティアレクチャーに参加したことがない」78.3%(提供:日本赤十字社)
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また、今後、災害時に被災地でボランティア活動に取り組むために、「事前に知識やスキルを学んだり、習得したりすることを必須にした方が良いと思うか」については、85.0%が「必須にしたほうが良いと思う」と答えた。

「被災地でのボランティア活動の前にボランティアレクチャーを必須にした方が良いと思う」85%(提供:日本赤十字社)
「被災地でのボランティア活動の前にボランティアレクチャーを必須にした方が良いと思う」85%(提供:日本赤十字社)

なお過去に被災地でボランティアを経験した人173人のうち、事前にレクチャーに参加した人は27.7%と3割を下回った。そして、そのうち85.5%が「役立った」と回答している。

「ボランティアレクチャーが役立った」85.5%(提供:日本赤十字社)
「ボランティアレクチャーが役立った」85.5%(提供:日本赤十字社)

役立った理由は、「事前に具体的な活動や求められる行動が理解できたから」が65.9%で最多となり、次いで「ボランティアに参加する前に準備しておくことを知ることができたから」が58.5%、「事故や怪我、予期せぬトラブル等緊急時の対応が想定できたから」などが53.7%と続いた。

また、事前のボランティアレクチャーに参加しなかった125人のなかでも、「今後は参加したい」と考える人は73.6%(「とても」18人、「やや」74人)だった。

「今後、ボランティアレクチャーを受けたい」73.6%(提供:日本赤十字社)
「今後、ボランティアレクチャーを受けたい」73.6%(提供:日本赤十字社)

被災地域で活動するにあたって「ボランティアレクチャー」を受けることがよいようだ。

ではそもそもどこで受講でき、どんなことを教えてもらえるのか?また、これから被災地でのボランティア活動を考えている人はどのようなことを学び、理解しておけばいいのか?

日本赤十字社の担当者に聞いた。

被災地ではボランティアの活動シーンが増えつつある

――「災害ボランティアの事前学習」に注目して調査を行った理由は? 

国内では1月、石川・富山・新潟・福井の4県を襲った「令和6年能登半島地震」が発生しました。

地震を機に、SNS 等では当初、被災地への不要不急の移動を控えることが求められた中で、「行かないボランティア」や「迷惑ボランティア」といった言葉が見受けられたように、ボランティアの在り方をめぐる意見・議論が飛び交う様子も散見されました。

平時からボランティア組織を構成し、災害時も活動している日本赤十字社としては、ボランティアにまつわる一般の方々の意識や行動に注目し、平時からボランティアに関して、学ぶ機会も1つの重要な点と考え、「ボランティアの事前学習」に着目し、今回の調査を実施いたしました。 

発災から3カ月が経過した被災地では、これまでボランティアの宿泊拠点が設けられるなど、ボランティアの活動シーンが徐々に増えつつある状況になっています。

日本赤十字社としてはボランティアについて、「いかに被災地・被災者に寄り添い、求められる行動が提供できるか」が重要であると考えています。


――「ボランティアレクチャー」はどこで受けられる?

「ボランティアレクチャー」は、省庁などの機関や自治体、社会福祉協議会、民間団体など、様々な組織が主催していますので、それに申し込むことで受けることができます。

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――具体的には、どのようなことを教えてもらえる?

「ボランティアレクチャー」の実施主体によってさまざまですが、一般的には、講義や実技を通して、ボランティアとして活動する上での知識やスキルを身につけることができます。

たとえば、災害ボランティアを対象としたレクチャーでは、マスクやゴーグルのほか、応急手当物品などの持参物、ボランティア保険への加入といった事前準備に関して、説明を受けられます。

そして、現地での活動に関しては、まずは自身の安全を確保するために被災地域の被害情報などを把握する必要があること、被災者への接し方などの内容が含まれます。

ほかにも、現地でボランティアの方々をとりまとめるリーダーとしての講習や、ボランティアセンターの運営について学ぶことができる講習もあります。 

なお、日本赤十字社では、日ごろから地域における赤十字ボランティア活動や災害時の被災者支援活動への参加を希望される方々を「赤十字ボランティア」として予め登録しており、登録された方などを対象に養成研修を行っています。

研修では、赤十字のボランティア活動の意義や特徴、活動時の心構え、必要な知識、災害時における赤十字ボランティアの位置づけや実際の活動などについてお伝えしています。

「被災者の自立を支援する」という意識が重要

――被災地でのボランティア活動を考えている人は、どのようなことを学び理解しておけばいい?

被災地の状況やボランティアの募集状況、自己完結が基本であることなどに、引き続き、留意することが大切です。

災害が発生して数週間から数カ月がたつ時期は、時間の経過とともに、日常生活や将来について考えられるようになっていきますが、災害の記憶がよみがえり、つらい思いをすることなどがあります。

日本赤十字社が災害時のボランティア活動について、活動前後の準備や注意点をまとめた冊子「ボランティア、ご安全に!」にも記載していますが、引き続き、「被災者の自立を支援する」という意識・態度で被災された方に接することが大切です。

また、季節の変わり目で寒暖差があったり、日中の気温・湿度が上がる季節になりますので、体調管理や熱中症対策、体温調節ができる服装の準備などに注意する必要があります。

これに加えて準備することとしては、日本赤十字社のWEBサイトでご覧になれる「ボランティア、ご安全に!」も、ご参考いただくことをおすすめします。 

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ボランティアとして活動する上での知識やスキルを身につけることができる「ボランティアレクチャー」。省庁や自治体、社会福祉協議会、民間団体など、様々な組織が主催しているので、被災地のボランティア活動に興味がある人はチェックしてみてほしい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。