福岡・北九州市で空き家となっている市営住宅から「給湯器」が盗まれる被害が相次いでいる。一体、誰が何の目的で盗みを繰り返しているのか?

市営住宅から“消えた”給湯器

北九州市八幡西区の住宅街。野良ネコがくつろぐ閑静な場所で事件は起きた。

この記事の画像(9枚)

「空き住戸の給湯器がなくなっているみたいよ」
通報があったのは2024年4月9日。狙われたのは空き家となっている市営住宅だった。取材班が現場を訪れてみると、給湯器がなくなっているのが確認できた。電源コードも切断されていた。

市営住宅を管理している市の住宅供給公社によると、市営住宅の室外に取り付けられていた給湯器、合わせて12台がなくなっていた。付属の配管は工具で外され、配線は刃物のようなもので切断されていた。

北九州市﨑田禎之・住宅整備課長:
プロでしょうね、知らないとできませんもん。普通、我々でもガスは怖くて扱えない。「切ってドカン」もあり得るでしょ。それはちょっと怖いので。

突如消えた給湯器 住民は不安

突如として市営住宅から消えた12台の給湯器。

周辺の住民たちは「(湯器が盗まれた?)え、そうなんですか。ほんとに…。びっくりしますね。何が目的?部品かなんかとるんですかね。意味が分からないです。怖い!」「2カ月前はあったんですけど、今月になってからなくなってます。強盗とか来たら怖いなって」と話すなど不安が広がっている。

一体、誰が何の目的で給湯器を盗んだのか?実は給湯器の窃盗被害は今、全国で相次いでいる。

全国で相次ぐ 給湯器窃盗

「給湯器が付いていた所ですけど、今、なくなっている状態です」と管理会社の男性が案内してくれた千葉・市原市の集合住宅。部屋の前にあるはずの給湯器がなくなってしまっている。

警察は、この住宅などから7台の給湯器を盗んだ疑いで37歳の無職の男を逮捕した。

別の集合住宅では、防犯カメラが白いジャンパーを着て給湯器を調べているような人物の姿を捉えていた。

逮捕された男は警察の調べに対し「お金に困っていた。100台から150台以上、盗みました」と容疑を認めているという。

なぜ給湯器が?専門家が指摘する背景

給湯器が狙われる背景について専門家は転売目的での窃盗を指摘する。

「日本空き家管理士協会」山下裕二・代表理事(電話取材):
4月に入っても埼玉県や千葉県で同様のニュースが出てましたね。銅とか真ちゅう、そういったものの値段が高いので、給湯器の中をバラして、そういった金属を取っているっていうのが多いんじゃないですかね。空き家の件数は右肩上がりで増えているので、今後こういったケースはもっと増えてくるんじゃないですかね。

北九州市は八幡西区の市営住宅での被害について、すでに警察に届け出ていて、警察は窃盗事件として犯人の行方を追っている。

(テレビ西日本)