愛媛・今治にあるサッカーのエリートアカデミーで技術と精神力を磨き、15歳以下の日本代表に選ばれた中学生が、「なでしこ」入りを目指し今春に巣立ちつ。今治のアカデミーでの3年間を糧に新たな挑戦フィールドへ走り始める。

16歳以下の国際大会で日本が初優勝

2023年4月に、スペインで行われた女子サッカー16歳以下の国際大会で、日本のチームが初めて頂点に立った。この快挙を達成したのが、JFAアカデミー今治だ。

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JFAアカデミー今治は、未来の「なでしこ」を目指し、サッカーのエリート選手を育成する機関である。選考試験を突破した女子中学生35人が、日々トレーニングに打ち込んでいる。

大倉光藍選手:
追い込まれた状況から逆転して勝ったりとか格上の相手に勝った時が、もう最高の瞬間です

愛知県出身で中学3年の大倉光藍選手は、国際大会初優勝を決めたアカデミー7期生の1人で、2023年8月には15歳以下の日本代表に選ばれた。また、2023年度の愛媛サッカー大賞・グランプリにも輝いた注目のプレーヤーである。

大倉選手について、JFAアカデミー今治の木村リエチーフコーチは、「チームがうまくいってない時も、常に声を掛けながらポジティブにプレーをさせることができるところが1つの特徴。あとは、ディフェンスラインからの攻撃の起点にもなる選手なので、そういうところも特徴のある選手」と話す。

大倉選手のポジションは守備の要であるセンターバックだが、攻撃に絡むプレーも得意としている。その武器が、ワンプレーでチャンスを生み出すロングボールだ。

大倉光藍選手:
相手にボールを奪われずに前に運ぶことだったり、センターバックからでも得点にからむことが役割だと思います。ミスしたら責任は大きいですけど、その分成功した時の達成感があります

JFAアカデミー今治で仲間と協力

2人の兄の影響で3歳からサッカーを始めたという大倉選手の自慢のロングボールは、アカデミーに来たからこそ身につけることができたと考えている。

アカデミーの生徒は全員、親元を離れて寮で共同生活をしている。閉校になった小学校を改装した寮は1部屋4人で、学年の区別なく寝起きを共にする。

大倉光藍選手:
ちょっと言い合いしたりして気まずい時もある。すぐ仲直りして大変なことも多いんですけど、仲間と協力したりして日々を過ごすのが楽しいです

アカデミーの生徒たちは地元の中学校に通い、学校が終わってからトレーニングをするため、寮に帰るとすぐに支度をしてバスで練習場に向かう。

学年関係なく仲がいい選手たちは、みんなが集まると笑い声が絶えない。しかし、練習が始まるとその表情は一変する。小雨の降る中、コーチから与えられた課題と向き合いながら、2時間みっちりとトレーニングに打ち込んだ。

将来は「なでしこジャパン」で活躍

大倉選手は、アカデミー以外にも、FC今治レディースネクストに所属していて、週末はクラブの練習や試合に出るなど、まさにサッカー漬けの日々を送っている。

その原動力は、サッカーと真摯に向き合い「いまの自分を超える」姿勢だ。

大倉光藍選手:
常に自分と向き合って、きょうの自分をあす少しでもいいから超えられるように頑張っています。上のレベルに行けば行くほどもっと上の選手がいて、今のままでは足りないなと思いました。トレーニングでパスもより丁寧にしたり、ほかの選手より少しでもいいから多く走ろうとかっていう気持ちになります

3年間、同じ志の仲間と切磋琢磨した大倉選手は、「高校のうちになでしこリーグの試合に出れるようにしたいです。将来はなでしこジャパンに入って活躍したいです」と今後の目標を話し、2024年春、地元・愛知から新たなスタートを切る。

今治から巣立つ未来の“なでしこ”は、新たな挑戦に向かって走り始める。

(テレビ愛媛)

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