福原愛さん(35):この度は私のことで、皆さまにご心配やご迷惑をお掛けしてしまい、誠に大変申し訳なく思っております。江さんと和解いたしましたので、この場をお借りして、皆さまにご報告をさせていただきます。これからは江さんと協力して、子どもを育てていきたいと思っております。

15日午後、会見を開いた卓球女子オリンピック・メダリストの福原愛さん。

長男の親権をめぐり、元夫の江宏傑さんとの間で和解が成立したことを自ら報告。3分ほど思いを述べて、会見場を後にした。

【動画】福原愛さん「親権」めぐり元夫と和解 「刑事告訴され、和解せざるを得ないという状況に」と専門家

■2016年に台湾の男性と結婚、2021年離婚、子どもは2人

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オリンピックでは、2大会連続でメダルを獲得、長きにわたり、日本の卓球界をリードした福原さん。

リオオリンピックが終わった直後の2016年9月、卓球の元台湾代表の江宏傑さんと結婚を発表。女の子と男の子、2人の子どもに恵まれたが、2021年に離婚。離婚した後、子どもたちは台湾の裁判所で父と母の双方が親権を持つ「共同親権」で合意したとして、台湾で江さんと一緒に暮らしていた。

しかし…、
福原愛さんの元夫 江宏傑さん:日本の裁判所の審判結果を受け取りました。福原愛さんに対し、息子を私に引き渡すように命ずる内容です。

江さん側は、福原さんが2022年の夏休みに台湾を訪れ、長男だけを日本に連れ帰ったと主張。連絡も途絶えたため、日本の裁判所に申し立てを行い、福原さんには、江さんに長男を引き渡すよう命じる「保全命令」が出されたということだ。

江さんの日本の代理人 大渕愛子弁護士:引き渡しを行う考えがあるか否か、という質問にも(福原さん側が)答えないんですね。選択肢としては、未成年者誘拐罪での告訴、そういったことが考えられる。

一方の福原さん側は声明を発表し、「親権をめぐる私的な問題を、劇場的な見世物にして、ひたすら母親に圧力をかけるのが狙いであるかのよう」と批判していた。

そして、15日。

福原愛さん:江さんと和解しましたので、ご報告をさせていただきます。

江さんの代理人 大渕愛子弁護士:このたび、息子さんを福原さんが、江さんに引き渡すという内容を中心とする、和解が成立いたしました。

福原さんと江さんの代理人弁護士が合同で会見を開き、“和解成立”を報告した。

その内容はー

江さんの代理人 大渕愛子弁護士:共同親権は維持したまま、監護権については江さんに依然として帰属。協力をして、親として育てていくという方向性ですので、日本でも台湾でも過ごす時間は、十分ありますし、会う時間をお互いにしっかり確保してということは定められています。

■福原さんに「保全命令」が出されても引き渡し行われず 元夫側の刑事告訴をへて和解

「協力して子どもを育てる」ことで合意した福原さんと江さんですが、和解に至るまでには紆余曲折があった。

福原さんに長男を引き渡すよう命じる「保全命令」が出された後も、引き渡しが行われず、江さん側は強制執行の申し立てを行った。

しかしその後、福原さんと長男は、中国に渡っていたことが判明し、引き渡しが実現しなかったため、江さん側は警視庁に刑事告訴した。

江さんの代理人 大渕愛子弁護士:紛争が長期化する中で、刑事事件の(福原さん側の)代理人から、私のほうに和解の申し入れがなされました。

福原さんの代理人 酒井奈緒弁護士:息子を江さんに引き渡すように裁判所から命じられても、福原さんが息子を引き渡さなかったことは、不適切と言わざるを得ません。今回、私たちからは率直に、『態度を改めないとだめだ』という話をしました。これに対して福原さんも理解し、納得したことから、私の方から大渕弁護士に和解を申し入れることになりました。

“泥沼”から一転和解成立にいたった福原さんと江さんの長男の親権問題。

福原さんは今後の子育てについて…

福原愛さん:これからは江さんと協力をして、子供を育てていきたいと思っております。みなさまにはどうか温かく見守っていただければ幸いです。

■日本にはない「共同親権」とは?

福原愛さんが会見を開き、親権をめぐって元夫と和解したということだが、今後どうなるのか。 日本と台湾の国際結婚夫婦の離婚案件も担当したことがある、亀井正貴弁護士に聞いた。

15日の会見で明らかになったことは、
・すでに長男の引き渡しは完了しており、現在は台湾にいる。
・今後、両者での「共同親権」は維持。監護権は、江さんに。
・子供とは、日本でも台湾でも過ごす時間があり、十分会う時間が定められている。

「共同親権」は、日本にはないものだが、福原さんは、台湾の法律により共同親権を持つことになっている。監護権は江さんにあるということだが、監護権というのはどういうものなのか?

亀井正貴弁護士:親権というのは、単独親権の場合でも、監護権と財産管理に関する権利とお子さまのケアに関する2つの権利があります。バラバラにすることもできます。例えば、夫が海外にいて子どものケアをできない場合は、母親に対して監護権を認めて、親権自体は父親の方が持つということが可能です。今回の場合は子供のケア自体は、台湾の夫がやるということです。

福原さんはお子さんに会うということになると、日本から台湾に行かなくてはならないということか?

亀井正貴弁護士:各自の親というのは、子供に対する面接交渉権を持っているので、将来的に面接交渉をどうするか、離婚している場合には、その取り決めがなされます。例えば、1カ月の内に何回ぐらいの頻度で、どれぐらいのところで、どの場所で会うといった取り決めをして行く。そこまで細かくやらないかもしれませんけれども、おそらく日本でやる場合と、台湾でやる場合といった取り決めはなされたのだと思います。

日本で会える可能性もあり得るようだ。

■新たな事実「刑事告訴され、もう和解せざるを得ない状況に」

今回の会見では、新たな事実も明らかになった。
2023年7月、福原さんに東京地裁から、長男の引き渡し命令が出された。
2023年8月から9月、福原さんと長男は、中国に滞在していて、強制執行することができなかった。
2023年12月に福原さん側は東京高裁に不服申し立てたが、抗告は却下。その後、福原さんは最高裁に特別抗告し、江さん側は警視庁に刑事告訴し受理されている。

2023年7月の福原さん側代理人のコメントでは、「親権をめぐる私的な問題を、劇場型の見世物にして、母親に圧力をかけるのが、狙いであるかのよう」だと、対決姿勢を見せていた。

しかし、15日の会見で明らかになったのは、「裁判所の命令に応じなかったのは、不適切」、「態度を改めないとダメだ」と現在の代理人から説得があったなど今回、和解にいたった背景の一端が見えてきた。

抗告や特別抗告などを双方繰り返しているが、今回の和解にどう影響したのか?

亀井正貴弁護士:私自身は和解に1番大きな影響を及ぼしたのは、刑事告訴だと思っています。あと子供の引き渡し命令の審判が出て抗告して、さらに最高裁への特別抗告って、たぶん特別抗告の最高裁の決定でもそんなに先ではなく、近い将来に出ると思います。そういう状況のもとで刑事告訴をやっている。未成年者略取誘拐での刑事告訴だったら、刑としては重くないですが、海外に連れて行く目的で略取誘拐すると重いんです。前者の場合には、親告罪といって半年以内に告訴しなければいけないんですが、後者の重い罪の場合はいりません。このまま捜査された場合には非常に困るということと、最高裁での決定がもう出るだろうという状況で、おそらく『和解せざるを得ない』状況があったと思います。

福原さん側が和解せざるを得ないというか、譲歩するしかない状況になったということだ。

■反省をする状況は当初から変わっていない、対外的に反省せざるを得ない状況になっただけ

福原さん側代理人のコメントの温度感がかなり変わってきているように感じるがどうなのか?

亀井正貴弁護士:私は基本的に反省する客観的状況というのはそんなに変わってないので、何が変わったかというと、最高裁の決定が近いことと刑事告訴だけだと思います。だから付随的にそういう状況のもとで反省せざるを得なくなったという面はあると思いますけど、やはり対外的な要因が、和解の大きなインセンティブになったと推測します。

■両親の価値観が違うからこそ泥沼化させてしまう

亀井弁護士は、過去に日本・台湾の夫婦の離婚案件も担当したことがあるということだが、法律などが違うと、難しいものなのか?

亀井正貴弁護士:法律の違いも確かにあります。最も違うのは価値観ですね。両親の価値観の違いが、和解を難しくさせて、泥沼化させていく経過をたどることがあります。

福原さんはある程度、子供たちに会うのに制約がかかるのか、それとも自由に会えるようになるのか?

亀井正貴弁護士:一般的なことを申し上げますと、連れて行かれた状況を夫側は体験しているのでやっぱり警戒すると思います。割とそこは厳しく、例えば子供を渡しっ放しにするのではなく、ある程度監視できるような状況下とか、そういう条件を設定しているのではないかと思います。

福原さんと江さんの関係などは分かりませんが、なにより子どもたちが幸せに成長されることを願わずにはいられない。

(関西テレビ「newsランナー」2024年3月15日放送)

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