関西の春の風物詩「イカナゴ」。近年、漁獲量が激減していて大阪湾では「禁漁」が決まった。そして11日、イカナゴ漁が盛んな兵庫県明石市周辺などの播磨灘でも禁漁とするかどうか、地元の漁協関係者が会議を開いた。協議の結果、漁は11日までとすることが決まった。
■【動画で見る】瀬戸内海・播磨灘でもイカナゴ禁漁 解禁したが即日禁漁の判断
■イカナゴを漁業関係者と報道陣が取り囲む

兵庫兼明石市の林崎漁港では11日午前11時すぎにイカナゴ漁に出ていた船が港に帰って来た。 水揚げされたばかりのイカナゴを、漁業関係者と報道陣が取り囲むちょっと異様な光景となった。なぜこれほどまでに「イカナゴ」が注目されているのか。それは、記録的な不良が続き、史上初めて、全面的な「禁漁」が決まるかもしれないから。
■「春の年賀状」

兵庫では甘辛く煮込んだ「くぎ煮」を知り合いに送る習慣があり、「春の年賀状」とも呼ばれる「イカナゴ」。2010年代前半には、1万トンを超えていた兵庫県のイカナゴの漁獲量は、その後、大きく減少し、2017年以降は2000トン以下にまで激減。
兵庫県水産技術センターの調査によると、ことし、大阪湾と播磨灘の稚魚の数は過去最低で、大阪湾では史上初めて「禁漁」が決まった。播磨灘でも、解禁日の11日の漁獲量次第では「全面禁漁」となる可能性もあり、結果が注目されていた。 明石市・林崎漁港の初日の漁獲量はおよそ500キロ。初競りの価格は25キロおよそ17万円で、(去年20キロ8万8000円)去年の2倍近い史上最高値となった。
■例年よりかなり高値で売り場へ

「イカナゴ文化」が根強い兵庫県明石市の商店街には、この日を心待ちにしていた人たちの姿が。商店街の店では1キロ6000円(去年は1キロ3000円)と例年よりかなり高値で販売されているが、それでも長い行列ができた。
値段を聞いて「え~6つで3万6000円。すごいね~」と買い物客からは驚きの声が。
大阪から来た客:いつもやったら10~15キロ買うんですけど、ことしはもう2キロしか買えないですね
さらに、神戸市垂水区の鮮魚店を取材すると、“落胆の声”が聞かれた。
木下水産 木下宏忠代表:かなり(注文を)聞いてる人がいたので、その人の分を段取りできなかったのがつらいです。(くぎ煮は)垂水発祥って言われてるので、何とかつないでいきたいなと思ってるんですけど、どうすることもできないです

大阪・梅田の阪神百貨店は、特設コーナーを設けイカナゴを販売。 売り場では「イカナゴ。ことしの新物初入荷ですよ~」と声が上がった。
京都から来た買い物客:よかったですわ。モノは手にしました。結局、3キロですね。自分の経験した中で一番最高額やね
阪神百貨店では、去年の1.6倍、1キロあたり、およそ8000円の値が付いたが、販売開始から1時間半で完売した。
■解禁初日で「禁漁」決まる

11日午後、地元の漁協が集まった会議で播磨灘のイカナゴ漁は初日の11日で終わることが決まった。大阪湾に続き、播磨灘でも「禁漁」が決まった。 「イカナゴ」が今後も「春の風物詩」であり続けることができるのか、心配な状況が続いている。
【関西テレビ「newsランナー」3月11日放送)