■服役後無罪確定の女性 「うその自白引き出した」国家賠償求め提訴

殺人罪で服役し、「再審」の裁判で無罪が確定した滋賀県の女性が、捜査機関の責任を追及する裁判を起こし、7日から関係者の証人尋問が始まった。

滋賀県の湖東記念病院の看護助手だった西山美香さん(44)は、入院患者を殺害したとして、12年間服役したが、やり直しの裁判で事件の存在そのものが否定され、無罪が確定した。

この記事の画像(7枚)

やり直しの刑事裁判では「取調べを行った滋賀県警の警察官が西山さんを不当に誘導し、うその自白を引き起こした」と認定していて、西山さんは国と滋賀県を相手取り民事裁判を起こした。

提訴から3年以上が経過する中、7日から関係者の証人尋問が始まった。

■滋賀県警の“不正”を追及 検察官「捜査資料見たことない」

滋賀県警は、解剖した医師が「入院患者は痰が詰まって死亡した可能性がある」と話し“他殺”を否定した重要な捜査資料などを検察に送らず、事実上、隠ぺいしていたことが分かっている。

西山美香さん(当時2019年):滋賀県警は汚いやり方をする。自分たちの都合が悪い情報は今まで隠してきて。

7日に行われた裁判では、西山さんを起訴した検察官が出廷した。警察の手元で眠っていた捜査資料について問われると、「見たことがない」「捜査記録は警察から全部送られているものと思っていた」と証言した。

■入院患者解剖の鑑定医「警察の情報をうのみにしない」

また、入院患者を解剖した医師も出廷。痰が詰まった可能性を指摘しつつ、人工呼吸器のチューブが外されたことによる「窒息死」と鑑定した経緯について、滋賀県警の“誘導”がなかったか質問を受けた。

これに対し、医師は「警察からの情報をうのみにすることはない。解剖の結果を踏まえて窒息死と結論付けた」と反論した。

■次回裁判では取り調べを行った現職の警察官が出廷

裁判終了後の会見で…

井戸謙一弁護士:(鑑定医は)非常に口が重く、質問に対して端的に答えるものではなく、不合理さというのは、いくつもの点で浮き彫りにして裁判所に印象付けられたのではないか。

西山美香さん:(捜査で)行き過ぎたところは、たくさん警察にあると今でもあると思う。

次回の裁判は2024年5月の予定で、西山さんを取り調べた滋賀県警の現職警察官が出廷する。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年3月7日放送)

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。