■生まれたあとに「血液型は変わる」? 若者は血液型を知らない人が多い

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実は今、自分の血液型を知らない人たちが増えている。血液型は知らないとダメなのか?性格や病気との関係は?こういった疑問や血液型の役割について、兵庫県の赤十字血液センターに長年在籍し、血液型について詳しい神戸学院大学の坊池義浩准教授に聞いた。

取材で、産婦人科の医師が「赤ちゃんの血液型を調べないことは、最近では当たり前」と言っている。番組視聴者に「出生時に自分の血液型を調べましたか?」と聞いたアンケートでは、「はい」107人、「いいえ」63人となった。

子どもの血液型は『変わるから』と病院で言われることもあるそうだが、何歳ぐらいになったら調べるといいのだろうか?

神戸学院大学 坊池義浩准教授:ABOの血液型は、赤血球上の抗原と、血しょう中の抗体を両方調べて血液型が決定されます。出生時は抗原と抗体が未発達ですので、どうしても間違いが生じる可能性があります。5歳ぐらいになると、間違いない検査結果が出ると思います。

■血液型は知っておいてほしい大切な情報

神戸学院大学 坊池義浩准教授
神戸学院大学 坊池義浩准教授

そもそも血液型は知らないとダメなのだろうか?

神戸学院大学 坊池義浩准教授:知らなくても、生きてはいけます。医療の世界では、A・B・Oの血液型というのは、とても大事な項目です。輸血医療、例えば事故や病気で輸血が必要になった患者さんに関しては、A・B・Oの血液型はすごく重要な検査項目になります。これをしっかりできていないと、A型の人に間違ってB型の血液を輸血されて、死に至る可能性もあります。

輸血では事前に血液型を調べるのか?

神戸学院大学 坊池義浩准教授:病院の方でしっかり違うタイミングで、2回の検査を行いますので、間違いが生じることはないようなシステムにはなっています。

事前に調べてはもらえるものの、知っておいた方が良いということだ。

■血液型は「44種類」も そして「血液型と性格は科学的根拠なし」

血液型と言えば、「性格」との関係について関心が高いのではないだろうか。「A型はきちょうめん・神経質、B型は明るい・マイペース」…などと言われるが、血液型と性格の関係は本当にあるのか?

神戸学院大学 坊池義浩准教授:私、O型で本当に大雑把なんです。当たっているな…と思うのですけれども、科学的な根拠を示した論文はまだ出ていません。今後を楽しみに待っていたいと思ってます。

なぜ、証明することが難しいのか…、理由は「血液型はABOの他、『RH血液型』など44種類も認められている」という。

神戸学院大学 坊池義浩准教授:A・B・O血液型、それからRHのプラスとマイナスといった血液型はご存じだと思います。それ以外に2023年の時点で、国際輸血学会が44種類ですから、残り42種類の血液型があるというデータがあります。

血液型は4種類だけではなく、細分化するとたくさんあるので一概には言えないということだ。血液型はどこで調べられる?

神戸学院大学 坊池義浩准教授:今、血液型を調べて、証明書のようなものを出しなさいということは少ないかと思いますが、どうしても調べたい場合は、医療機関に行けば、少なくともABOの血液型、RHの血液型は調べてくれる病院もあります。ただし有料にはなるかと思います。

■A型は新型コロナ、O型はノロウイルスに感染しやすい

性格との関係は残念ながら根拠なしだが、一方で「血液型と病気は関係あり」という。特に注意しなければいけない話として、「O型の人は血液が固まりにくく、大けがにより死亡率が高い」という。

神戸学院大学 坊池義浩准教授:多くのエビデンスが出ています。O型の方は、血液を固めるためのフォン・ヴィレブランド因子というのが、他の血液型に比べて約3割ぐらい少ないといわれていますので、どうしても血が固まりにくい、止血しにくいということで、大けがによる死亡率が高いというデータが出ています。

「A型、B型、AB型はエコノミークラス症候群や心筋梗塞のリスクが高い」

神戸学院大学 坊池義浩准教授:O型の血液が固まりにくいということの言い換えになるかと思いますが、その他の血液型の人は、血液が固まりやすいといってもいいかもしれません。そういう意味ではエコノミークラス症候群、いわゆる静脈血栓塞栓症ですね。血の塊ができて血管をふさいでしまう病気のリスクが高いと言えます。

「A型は新型コロナ、O型はノロウイルスに感染しやすい」

神戸学院大学 坊池義浩准教授:新型コロナウイルスに関しては、たくさんの論文が出ています。その中でA型の方は、新型コロナウイルスに感染しやすい、また重症化しやすいという報告が多数出てい。またノロウイルスに関しては、ある種のノロウイルスですけれども、O型に感染しやすいというデータもあります。こういったウイルスは、おそらく血液型抗原を受容体=入り口にして侵入してくると思われます。ですので、多数ウイルスや細菌に関してのデータがあります。

■血液型が変わることは…ある

視聴者から質問です。
‐Q:蚊に刺されやすい血液型はある?
神戸学院大学 坊池義浩准教授:私も最近知ったことですが、製薬会社が行った実験があり、蚊をたくさん入れたボックスの中に、手を入れて、刺された箇所の個数を数えると、O型の人が一番多かったそうです。順番としては、O型、それからB型、AB型、A型という順番だったそうです。

‐Q:血液型が途中で変わることはある?
神戸学院大学 坊池義浩准教授:これも興味深いところですけれども、白血病のA型の人がO型に一時変化してしまうというケースが、まれですがございます。その場合は白血病の治療がうまくいき、"寛解"(=治療は続いているが症状が収まって穏やかな状態)になると、また元の血液型に戻ります。それから白血病の治療で移植というのがございます。その場合には、患者さんの血液型と違う、ドナー(提供者)から移植を受ける場合があり、その場合はドナー型に変わってしまいます。その場合は一生変わったままになりますが、あくまで血液中の細胞成分だけですので、体組織にあるABOの血液はもともとの患者さんの血液型です

白血病の方以外で変わってしまうことはないのか?
神戸学院大学 坊池義浩准教授:消化器疾患の方で、細菌感染を起こした場合、一時期、例えばA型がB型に変わったりというのもありますが、こちらも治療が施されて治ると元の血液型に戻ります。

「血液型と病気の関係性がある」ということなので、自分の血液型を知っておくことは病気への備えにもなる。医療機関では有料の検査で血液型を知ることができるが、献血でもABOとRHの血液型を教えてもらえるそうだ。献血は16歳からできる、身近なボランティアとしても行ってみてはどうだろうか。

(関西テレビ「newsランナー」2024年2月28日放送)

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