<衆議院ホームページより>
「政治倫理審査会」とは…:
政治倫理の確立のため、議員が「行為規範」その他の法令の規定に著しく違反し、政治的道義的に責任があると認めるかどうかについて審査し、適当な勧告を行う。
自民党の政治資金をめぐる問題での「政倫審」開催に関して、岸田首相は28日、自身が審査会に出席し、マスコミオープンの形式で説明を行う意向を表明しました。
当初は「全てにおいて非公開」とされていたものの、27日午前には「国会議員に限って傍聴を認める」と変更、午後には「冒頭のみテレビカメラ撮影OK」「記者の出席&録音OK」に。しかしその後、出席予定だった5人のうち2人が出席を撤回したため、28日に行われる予定が急きょ延期となりました。
28日には、岸田首相自ら出席することを表明し、テレビ中継含め報道機関に全面公開で 6人が出席へと、二転三転してきた開催方法。
自民党幹部からは、岸田首相の出席決断について、「岸田首相がキレたのでは」との声が上がっています。
二転三転した開催方法 首相の求心力
――今回の二転三転についてどう感じますか?
岩田明子氏:
本来であれば、政倫審の開催を重視していたのは岸田首相そのものですから、岸田さんあるいは幹事長が出てきて、仕切れば良かったんです。たとえば最初に条件を決めてしまって、それから出席議員を決めるとか、そういう段取りであればここまで事態がこじれるということはなくて…。意向確認もやっていないわけですよね?森山総務会長に丸投げしてしまったと。
それが絞って2人になって5人になってと、小出しに見えるようなやり方になってしまったわけですけども、最初からボタンの掛け違いというか、段取り感がなかったと。
普通は国会日程など見ながら、何日までに何をやらなくてはいけないとか、誰に根回しをしなくてはいけないとかが、官邸のセオリーだったわけですけども、ちょっと日程感がないというところが目立ってきていますよね。
――岸田首相が仕切れなかった?
これまでの経緯をみるに、やはり根回し不足という所はすごくあって、派閥解消の時も、ご自身は派閥に属しながら、突然派閥を解消。その時も、本部で議論をしている最中に突然の表明があったわけで。今回も突然の表明で、当日朝に浜田国対委員長のところに電話がかかってきて、びっくりするわけですよ。その場に偶然3人の国対委員長も同席していて、そこにいるなら浜田さんから伝えてくださいと。これはとても根回しとは言えないんですよ。
フジテレビ解説委員 風間晋氏:
この議員たちにして、この総裁ということなんだと思うんです。安倍派だって、安倍元首相が亡くなってから、ガタガタ状態がずっと続いていたワケだし、他の自民党幹部議員もずっとだんまりを決め込んでいるわけじゃないですか。そういう意味では、もちろん岸田さんの指導力のなさというのが目につくんだけれど、他の議員たちが自分たちはどうするんだという動きが全然ないのは、きちんと抑えておくべきだと。
今回の決断についての自民党内の反応はどうなっているのか。 フジテレビ政治部の木村祐太記者は、こう話します。
政治部 木村祐太記者:
この決断で事態が動いたのは間違いないですけども、賛否は渦巻いていて、諸刃の剣という様相です。自民党内でも、世論を考えれば完全公開しかないのに、それに応じない安倍派の幹部に激怒していたのだろうという見方があります。その一方で、こうでもしないと安倍派の議員を引っ張り出せなかったのだろうという状況に対して、首相が表に出る前に党の幹部に対して、安倍派を説得しろと激怒するのが普通なんだけども、幹部との関係が良くないためにそれができなかったと話していました。
特に根回しなしに行った派閥解散の電撃表明で、幹部からの求心力が一気に失われたという見方も多いです。ある自民党の関係者は、「岸田さんのために動く党幹部はほぼいない、それがこの結果だ」と漏らしていました。
古市憲寿氏:
結局政倫審に出る出ないとか、オープンかオープンじゃないかというのは、あくまでも国会の永田町の議論じゃないですか?別にこの国の人は、政倫審どうこうに怒ったりしているわけではなくて、そもそも政治とお金の問題これからどうするんだ?というところに関心があるわけですよね。でも、政治家はずっとこれからもルーズなんですか?領収書が一部無くてもいいだとか、パーティー券でお金を集めたりとか、政治資金規正法に抜け穴がたくさんあるわけじゃないですか?抜け穴を本当に全部塞ぐんですかと、そういう事を議論しなくてはいけないのに、政倫審出る出ないとか、フルオープンか否かとかの議論って、そこを煙に巻かれている気がして、そっちじゃないんだよと。
そういうどうでもいいところにサプライズとかするのではなくて、ちゃんと政治と金の問題に真正面から向き合いますという覚悟とか、そういうことを示すことが必要なのに、その議論から野党も含めて政治家全員が逃げていると思うんですよね。
――いまだに派閥の力は党内に強く残っている?
岩田明子氏:
まだ潜在意識としては、あると思うんです。やはり安倍派は最大派閥でしたから、まるごとここを敵にしたくないという思いもあるのでしょうけども、今起こっていることは安倍派の中で、中堅若手の幹部に対する不満というのは、先日とりまとめられた報告書の中にも、かなり赤裸々に書いてありますように、中はガタガタなワケです。
ですから、私は派閥の解消というのを岸田さんが突然表明したときには、最大派閥の安倍派、それから麻生派、茂木派、この人たちの無力化を狙った選択なのかなと思ったくらい、派閥にとらわれたくないという潜在意識もあったのかなと。
――結局、岸田首相は何をしたい?
結局自分は何をしたいという部分が、毎回示されないわけです。そのときは減税だったり、その時はこれだったりというふうに、毎回毎回、その日暮らしみたいな感じで、テーマも違いますので、やりたいことの。
風間晋氏:
岸田さんもただ出てくるだけじゃダメで、これまでの国会でむにゃむにゃ言っていた説明を繰り返すだけでは何をしに来たのかということになって、国民の理解なんか得られずに終わってしまいますよね。逆に本当にダメだったねという印象になりかねないので、きょうの午後は注目ですよね。
(「めざまし8」2月29日放送より)