現在開催中の世界フィギュアスケート選手権。
昨季の世界選手権、日本勢は男子と女子、ペアの3カテゴリで世界一となった。
今回、女子からは3連覇を狙う坂本花織、今季四大陸選手権で初優勝した千葉百音、ショートとフリーで唯一トリプルアクセルを組み込む予定の吉田陽菜が出場する。
そんな日本勢の最大のライバルになってくるのが、去年の世界選手権で銀メダルに輝いたイ・ヘイン(18)だ。
“キム・ヨナの再来”とも言われている韓国のエースは、この世界選手権でどんな戦いを見せるのだろうか。
日本勢との対決で、カギを握る存在を取材した。
大躍進の昨シーズン
韓国フィギュア界のレジェンドといえば、2010年のバンクーバー五輪で金メダルを獲得したキム・ヨナさんだ。

日本の国民的ヒロイン、浅田真央さんとのライバル争いでも有名なキム・ヨナさん。
そんな彼女を見て育った韓国の新世代の選手たちは国内で“キム・ヨナキッズ”と呼ばれており、その象徴といえるのがイ・ヘインだ。
そして2023年、アメリカのコロラドスプリングスで行われた四大陸選手権。

ショート6位スタートのイ・ヘインは、フリーで全てのエレメンツで加点が付く最高の演技を見せ、大逆転で優勝する。
韓国人スケーターとしては2009年のキム・ヨナさんに次ぐ、史上2人目の四大陸選手権女王となった。

続くさいたまスーパーアリーナで行われた去年の世界選手権では、世界女王の坂本の前に立ちはだかった。

ショートノーミス演技で2位につけると、フリーでは渾身の演技で坂本を上回った。


イ・ヘインの世界選手権2位は、キム・ヨナさんが金メダルを獲得した2013年以来、10年ぶりの韓国勢の表彰台となった。
「負担も感じたりする」苦戦の今季
しかし、今シーズンはGPシリーズ2戦に出場するも表彰台とはならなかった。
それでも韓国選手権で2位表彰台となり世界選手権にも内定する。

だが、中国で行われた2月上旬の四大陸選手権は、ミスが重なってまさかの11位となり、悔しさがあふれた。

2月中旬、世界選手権でリベンジに燃えるイ・ヘインに話を聞いた。
――今シーズン、ここまでどうですか?
昨季の後半、すごく成果がよかった。正直なところ、予想外に後半がうまくいったので嬉しかったし驚きもしました。
(去年の)後半がよかったので今シーズンは負担に感じたりもしています。今は、コンディションは悪くないですが、メンタル面で気をつけていきたいところです。

――ご自身の武器はどんなところですか。
選手として一つのジャンルだけ上手であってはいけないと思っています。様々なジャンルに挑戦しながらいろいろな姿を見せようと努力しています。
得意なものは、ステップシークエンス。
ステップシークエンスの間、休まずスピードを出して最初から最後までできるように努力したり、音楽に合わせたテンポの調節などにも努めています。
「もっと頑張れ」と言われている気もする
――イ・ヘイン選手にとって日本の選手はどんな存在ですか。
私と同じ年ごろの選手たちですが、長所の多い選手たちです。
見習うところも多くて、会ったときとても親切に接してくれるのでありがたいですし、もっと仲良くなりたいです。

――憧れの選手は?
キム・ヨナさんは除いていうと、坂本花織さんが好きです。ルナ・ヘンドリックスさんも好きです。
その理由はジャンプを跳んだら終わり、という感じではなく、ジャンプ以外にもパフォーマンス面でいいところも多く、スピードやスピンも上手。
何よりもシニアの感じが一番出ている選手たちだと思うので見習いたいです。
――“キム・ヨナの再来”とも言われていますが、どう感じていますか。
私でなくても、選手が大会でいい成績を出したら、いいように言ってくださるのではないかと思いますが、「もっと頑張れ」と言われているような気もします。
そう言われるたびに「私、上手にできた」「上手にやっている」と思うので、キム・ヨナさんのようにはなれないと思いますが、それに近づけようと努力しています。
私としてはキム・ヨナさんのようないい選手になるためにたくさん努力したいと思います。

こう謙虚さを見せたイ・ヘイン。
次戦は去年、世界2位の輝かしい成績を収めた世界選手権だ。
その世界選手権に向けて、こう意気込む。
「今シーズン、満足のいくような試合ができていないので、世界選手権では自分のできることをもっと披露して満足のいくような試合をしたいです。
そうすることでいい結果にもつながると思います。また世界選手権ではお友だちも多いのでいい思い出もたくさん作りたいです」
世界フィギュアスケート選手権2024
3月22日(金)男女ショートよる7時~
3月24日(日)男女フリーよる7時~
https://www.fujitv.co.jp/sports/skate/world/index.html